◎幽霊と受付嬢



「ねぇレイさん。なんでわざわざ待ち合わせなんてしたんですか?」
「んー、たまにはいいかと思ってさ。一緒に買い物なんて新婚みたいだろ!」

冷めた目をした名前をひと撫でし、スーパーへ向かう。振り返る瞬間に感じた強い視線。げぇ、着いてきてるのかアイツ。いくら相手素人だからって尾行分かり易すぎるだろ。これ公ものだな。

「レイさんレイさん、なんか付けられてません?」

ほら名前にもバレてるじゃねぇか。

「みたいだな。」
「やっぱりレイさん危ない人なんじゃ……。」
「否定出来ないところが辛いんだけど名前には絶対危害は加えないから。」
「危害は加えないけど夕飯は作らせるんですね。」

軽口を叩きながら尾行を巻くように人を縫って歩く。それにしてもコイツ慣れてるな…。やっぱりこんだけ可愛いといろんなことあったんだろうな……。慰めるつもりで頭を撫でると後ろからの視線が強くなった。家に着くまでに撒きたいなぁ……。

「レイさん、今日は何食べたいんですか?」
「今日は魚が食べたい気分。」
「なら今日は鰆の西京焼きにしましょう。私大好きです。」
「お、いいな!楽しみー。」

鰆をポイとカゴに入れ、勿論カゴは俺が持ってるぜ!他にも野菜類をポイポイ入れていく。これは白和え作るつもりだな。菜の花か、春だなぁ。アイツにも春が来たってことなのかね。
でもな、







「まだ渡すわけにはいかねぇんだよ、ゼロ。」





さぁ気合い入れて撒きますか。



(クソ!絶妙に顔が見えない!アイツ誰なんだ!!)



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