◎目を逸らされるのは照れてるからじゃないって気づこうね
「なぁ新開。」
窓の外をボーッと見ていた靖友がふいに話しかけてくる。
「最近妹チャンとよく目が合うんだけどさァ。」
そう言って下を指す。
覗いてみると校庭へと続く階段で友達と談笑している自転車競技部マネージャー黒田の双子の妹がいた。
彼女は視線を感じたのかふと上を見上げる。
が、すぐに青ざめて勢い良く下を向いた。
これは…
「あれって照れてるよなァ。すっげぇカワイイ。」
「靖友……。」
目を逸らされるのは照れてるからじゃないって気づこうね
「ユキぃぃぃぃぃ!!!!」
「うわっ!いきなりなんだよ!」
「荒北さん怖いぃぃぃぃぃ!!!!!」
部活が始まる前、部室に入ろうとノブに手をかけたら後ろからすごい衝撃が来た。
原因は確認するまでもなく我が半身である妹。
しかも荒北さんが怖いって、
「あの人いつもだろ。」
「違うのー!最近よく目が合うんだけどめっちゃ睨まれるの!それはもう親の敵のごとく!絶対嫌われてるんだぁ!」
助けてーと背中にぐりぐりと頭を押しつけてくる。
地味に痛いからやめろ。
とは言っても、嫌われてるってことはないはずだ。
荒北さんコイツのこと頑張ってるって褒めてたし。珍しく。
じゃあコイツが何かした…?
「もともと必要最低限しかしゃべらないよ。」
「そうだったな。」
入った時からビクビクしてたもんな。
でもそうとしか考えられないだろ…。
2人で頭を抱えているとがチャリと部室のドアが開く。
「テメェらいつまで騒いでんだ!さっさと行きやがれ!!」
元 凶 登 場 !
まさかさっきの聞かれてた?
おいお前後ろに隠れてんじゃねぇよ!元はと言えばお前が悪いんだから!盾にすんな!
無言で押し合いしていると荒北さんは後ろの妹に(今更)気付いたらしく覗き込んできた。
妹は目が合った瞬間首ごと思いっきり視線を逸らす。そして全力で逃げていった。
ため息を吐いて荒北さんを見ると、
「………まじかよ。」
少し照れたような優しい顔で妹が去った方を見ていた………照れた?!
「荒北さん、アンタ…。」
「お前の妹チャンカワイイよな。」
「は?!」
今のでどう可愛いと思ったんだよ!
てか、もしかしてもしかしなくても、
「よろしくネ、オニーサン。」
「………ふざけんなぁぁぁぁ!!!」
後から新開さんから聞くと最近あんな感じらしい。
本人は怖がっているのを照れていると思い込んでいるのだ。
俺の先輩はあんなヤツだったか…?
まぁ妹が逃げ回っている間は大丈夫だろ…。
あの人が身内になるとか、それこそ恐ろしい。
「捕まえたァ。」
「ぎゃぁぁああああ!!!ユキぃぃぃぃぃ!!!!」
「あーもーカワイイなァ。」
「うぇ?!可愛い…?」
「食っちまいたいくらいカワイイ。」
「助けてユキぃぃぃぃぃ!!!!」
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