◎彼は今日から女の子?


「とっびおー!突然来てくださいってどうしたの………………浮気かっ!?」

ノックもせずに部屋に入ると飛雄ではなく髪の長い美少女がベッドの上にうずくまっていた。
アイツ呼び出しといてどこ行きやがった。
飛雄のやつコイツと付き合うので別れてくださいってやつだな…。
こんな美少女と付き合うなんて………うらやましいぞ!!
とりあえず近づいて肩を叩く。

「えーっとあなたが飛雄の新しい彼女さんですかー?」

うぉ近くで見るとより美少女だな…。
ん?この子なんか飛雄に似てるな。親戚か?

「せん、ぱい…!!」

声まで可愛いとかほんと神は不平等だ。
でもこの子なんで私のこと先輩って分かったんだろってかなんで泣きそうな顔してるの?

「どうしたー?飛雄にいじめられたかー?」
「俺が飛雄です!!」

わっつ?でぃすいず飛雄?この美少女が?
のーのーありえないね。

「美少女よ、いくら顔が似ているからとはいえそれは君が可哀想だよ。
こんなに可愛いのに可愛気のない飛雄と一緒にしちゃいかん。」
「だから俺が飛雄です!先輩の!彼氏の!飛雄です!」
「………証拠は?」

だって信じられないじゃないかだってこの美少女が飛雄だなんて。

「こないだの英語の単語テスト5点でした。」

ちなみに百点満点のテストです。
飛雄だわ。こんな馬鹿は飛雄だわ。
いつの間に中国に行って女になる温泉に入ってしまったんだろう。

「お父さんはパンダになったの?」
「何わけわからないとこ言ってんですか。
それよりこれどうしましょう…。」

今の飛雄は完璧なモデル体型だうらやましい。
しかも胸は私よりデカい。

「ムカつく…。」

とりあえずわしづかんでみる。
うわやらかっ!

「せ、せんぱい!?」
「うらやましいぞこのやろう。」
「ちょっ、せんぱい、やっやめてくださっ!」
「…………。」

駄目だなんか変な気分になってきた。
だから涙目で睨むのやめてお願い。
飛雄から離れて改めて飛雄を見る。

「なんでこんなことになってるの?」
「………。」
「ごめん、ごめんなさい。もうしないから。」
「………朝起きたらこうなってて。」
「ふむふむ。」
「んで夢だと思ってもっかい寝たんですけど……。」

夢じゃなかったわけですね。
じゃあ原因はわからないってことか…。

「もういいじゃん。せっかく美少女なのにそのまま生きちゃえよ。」
「はぁ!?」
「背も高いし女バレ入ればバレーできるし問題ないよ!」

飛雄はバレーできれば生きていけるでしょ?
そう言うと勢いよく肩を掴まれた。
痛い。痛いけど掴む力は男子のそれとは程遠かった。

「飛雄?」

うつむいているので顔は見えないけど手が震えていた。
もう一度声をかけるとボソリと言った。
何?聞こえないよ。

「だから!先輩はそれでいいんですか!」

問いかけの意味が分からなくて首を傾げると飛雄は舌打ちをして悔しそうに顔を歪めた。

「俺はアンタの彼氏だ!女のままじゃ力がない!女のままじゃ、アンタを守れない!」
「飛雄……。」

ヤバい、これはキュンときた。
飛雄はそんな事を思ってくれてたんだね。
泣きそうな飛雄をギュッと抱きしめる。

「ありがとう飛雄。
でもね、守ってくれなくてもいいんだよ。
私は一緒に、飛雄の横を歩きたいの。」
「先輩………。」
「たとえ飛雄が男だろうと女だろうとどっちでもいいよ。
私が好きなのは飛雄。だから飛雄がこのまま元に戻らなくても私はずっと一緒にいるよ。」

優しく背中を叩きながら言うと安心したのかギュッと抱きついてきた。
女でも男でも、飛雄は可愛い私の後輩でかっこいい彼氏だよ。

「先輩大好きです。」
「私も大好き。」
 
















その日はとりあえず飛雄のお母さんに事情を話し、風邪ということにして学校を休みずっと一緒にいた。
これからどうするか、とか明日服買いに行こうとか、どうでもいいこともいっぱい話した。
それからベッドで一緒に寝た。

次の日起きると飛雄は元に戻っていた。
嬉しいけど少し残念。

「せっかく可愛かったのにー。」
「何言ってんすか。」

結局何が原因かも分からなかったけど飛雄の本心が聞けてよかったってことにしてこう。

「飛雄大好き。」



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