◎もしかして記憶喪失?
「事故ったってどういうこと!!」
及川が病室に駆け込んでくる。
うるせぇよ、病院では静かにしろ。
「いや、突っ込んできた車に驚いて後ろにひっくり返ったときに頭打ったらしい。」
「頭打った!?それ大丈夫なの!?」
「うるさいですよ!寝てんだから静かにしてください!!」
突然ガバリと起き上がる。
さっきまで目を覚まさなくてどうしようかと思ってたのにこんなに簡単に起きるとは…。
「あれ?お兄ちゃん?おはよー。」
「おう、おはようバカ妹。」
なにのんきに挨拶してんだよ。
一応心配してたこっちの身にもなれよ。
「よかったぁ。このまま目を覚まさなかったらどうしようかと思ったよ。」
「………………あなた、誰ですか?」
及川が近づいて頭をなでようとすると顔をしかめて後ずさりをした。
「え、何言ってるの?
みんなの人気者で爽やかイケメンの及川さんだよ?
ほら岩ちゃんと、お兄ちゃんと一緒によくいたでしょ?」
「こんなうざい人知らないです。」
「だそうだ。残念だったなクソ川。」
「ひどい!!」
でもウソを言ってるようには見えねぇし…。
ほんとに及川のことだけ忘れたのか?
ってことは、
「「記憶喪失?!」」
「お兄ちゃんとかお母さんは覚えてるよ?
学校とかも覚えてるしー全部覚えてるー。」
「俺のこと覚えてないじゃん!!」
「だから誰ですか?!」
これは本物だな…。
すると及川は何か思いついたらしく近づいて肩に手を置いた。
嫌な予感しかしない。
「覚えてないかもしれないけど俺と君は付き合っ「なにウソ教えてんだよクソ川!!」いたいっ!!!」
油断も隙もねぇなこいつ。
妹は汚いものを見るような目で見ている。
さすが我が妹。
「お兄ちゃん、コレ何?」
「青城の汚点。」
「青城の主将だよ!!」
もー及川さん泣いちゃう。
シクシクと泣き真似をする及川はうざい。
「なんか、ごめんなさい。
及川さん?だけ覚えてないみたいで…。
頑張って思い出します。だからこれから時々でもいいので会いに来てくれますか…?」
「!!!!も、もちろんだよ!!毎日でも会いに来るから!!」
「ありがとうございます!
頑張って早く思い出しますね!」
なんか結局事故の前に戻ってるな…。
絶対思い出させるもんか。
こんなチャラ男に妹はやらんからな!!
数日後突然思い出したらしいがまだ及川には黙っておくらしい。
今まで以上にかまってもらえるのが嬉しいんだと。
「いたっ!!!
なんで何もしてないのに俺殴られてるの?!」
「うるせぇクソ川!!」
どうやら及川が妹をさらって行く日は近いらしい。
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