カフェの扉を開けると暫く誰も入っていなかったのか、ギィっと鈍い音が聞こえる。
奥には木製のカウンターがあり、食器が並べられた大きなキャビネットが二つ。少し遠くから見ていても綺麗に並べられているのがわかる。その隣にはエスプレッソマシンやコーヒーマシンが並ぶ。ここを買い取った主は、本格的にカフェとしてオープンする気があったようだ。
テーブル席が3つ、左側にソファ席。
店内へ足を踏み入れると、床に足跡がつく。目を凝らして見れば、埃は被っているが複数の足跡が見える。
息を吸うと少し埃っぽい匂いに微かに紅茶か何かの匂いがした。エスプレッソマシンやコーヒーマシンがあるのに豆の匂いはしない。
どこかに茶葉でも落ちているのだろうか。
真ん中のテーブルに何かある、透明の丸い水晶玉のようだ。店の飾りにしては似合わない気がした。近づいてみると透明だったはずの水晶玉が、ゆらゆらと紫色の煙のようなもので中が覆われ紫色に変わった。
パチンと大きな音がして、水晶玉が弾けた。紫色の煙と共に、水晶玉は消える。水晶玉があった場所に黄ばんだ紙があった。
手で拾い上げると、何かのメモのようだ。サンドイッチ、クッキー、ハーブティー、ガレット・デ・ロ...ロア?文字がインクで潰れている。
“もし私の願いが叶うなら、話がしたい”この文章も途中で文字がインクで消されている。
誰かへのメモだろうか?
何か暗号が隠されているのか?全ての単語に変わったところはない。消されている部分に何かあるのか?
何気なくサンドイッチの文字をなぞる。
次の瞬間、くらくらと何かが頭を揺さぶる。立っていられなくなりその場で倒れ込んだ。
2021/10/30