「マスター…。私またハルトを怒らせるようなことしちゃったわ…」
サラサラとした長髪が風でふんわりとなびき、マスターは優しい目をして微笑んでくれる。
「シオン。そんなに落ち込むことはないだろう?
あいつは自由奔放な死神。きっとまたふらっと機嫌を戻すよ」
私の思いを寄せている同じ死神のハルト。
外見は私より少し年上みたいな感じで紳士的な性格。
かっこいいんだけど、恋愛が嫌いらしくて私がアプローチしても全く気づいてくれないし避けられるばかり。
さっきもハルトの行動に対して助言してあげたんだけど終いにはこんな事を言われた。
『シオンさんには関係ないことですから、黙って仕事しててください』
だって…!
しかも声のトーンが怒った感じだったから、私の助言がいけなかったのかしら…。
最近はずーっと人間の男の子を心配そうに見守ってて、私のことなんか相手もしてくれない。
まったく!ホモかっつーの!!
人間の男の子なんかより、私の方がずっと可愛がるにはもってこいなのに。
「シオン、さっきから考えてることが顔に丸見えだよ」
マスターにつっこまれて我に返ったが、顔が一気に熱くなる。
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