「ななななな何よっ!見てんじゃないわよっ!」
「はははっ。怒ってるシオンの方がシオンらしくて好きだな」
私を救ってくれたマスターは、本当の私までも受け入れてくれる。
「人間の間ではね、好きだなんて簡単に言うと相手に勘違いされちゃうんだからねっ…!」
命…いや、魂の恩人であるマスターのことは大好き…。
本当はマスターの顔を直視できないほど『好き』と言う言葉を出されて嬉しかった。
でもマスターも恋愛に疎そうな面をしている。
この人に恋したって無駄なだけ…。
「勘違いしていいんじゃないかい?シオンのことが好きなのは事実なんだし」
私のことをマスターは好きでいてくれる事実…。
そのことを知って最大限に顔が熱くなってしまう。
「…っ!ハルトに謝ってくる」
赤くなった顔を隠す為に、体を背けてマスターの前を後にする。
今は違う場所に行って、この顔の火照りを冷却したい。
「行ってらっしゃい。ちゃんと帰ってくるんだよ。私のシオン…」
振り向くと私をにこやかに送り出してくれるマスターが手を振ってくれていた。
その姿を見たら、心がまたほんのちょっとあったかくなる。
分かったわよ…、私のマスター。
ーENDー
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