降り止まぬ雨に全てを流して

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緋色の瞳

市民達がアルバート達の事で話をしている事など露知らず、私は馬車に揺られながら、ウィリアムの隣でボッと外の景色を眺めて居た。
「外の世界でも気になるのかい?」
「……特に」
「!」
筆談とは言え、初めてアルバートと会話を交えた私に、アルバートは勿論の事、私の隣に座って居たウィリアム迄もが驚きの表情を浮かべる。
「……何?」
「いや、レンが初めて私とお話してくれたと思ってね」
「僕も驚きましたよ。君が僕達以外と話すなんて」
「成長しましたね」私の頭を撫でるウィリアムと優し気な表情を浮かべ、私達を見詰めるアルバートに、私は顔を顰める。
なんか凄い……子供扱いされてる気がする。私の方が歳上なのに……。私は、二人から顔を逸らし、また窓の方へ視線を向けた。
「そ言えば……君は、相変わらず人気者だね。また何か厄介事でも持ち掛けられたのかい?」

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