平和に行きましょう。

かたくり6


「特徴?えぇと…長い髪で、リザードンポーズが上手な、背の高い子です。呼びかける名前はそうですね、ダンデくんでお願いします。多分それで1発なんで」
 メモをとっていたコールセンターの女性が段々困惑した表情になるのを見て見ぬふりしながら、カタクリはこんなもんかなと指折り数えた特徴をなぞらえる。センター内には既に保護された子どもが泣いたり据え置きの玩具で暇を潰しながら親を待つ中、黒いジャケットを着て訪れたカタクリはそれなりに悪目立ちした。そして顔を見て「あっ!」と声を上げる子どもからそそくさと顔を隠しながら、傍にいない同行人の方向音痴加減に今日何度目かになるため息を吐いた。
「迷子のお呼び出しをします。長い髪で背が高く、リザードンポーズが上手なダンデくん。お連れの人が、コールセンターにてお待ちです。繰り返します…」
 精々悪目立ちして居た堪れない気分でここまで来るが良い。一瞬目を離した隙に反対方向の人混みへいなくなっていったまま見失ったカタクリの疲労はその比ではないのだ。
 シュートシティの遊園地でイベントがあるから、とダンデの付き人の真似事をする為に来たは良いが、予想以上に迷うこと迷うこと。チャンピオンの座を譲ったものの人気は健在なのに、何故そうも迂闊に迷えるのだと説教した回数は既に片手を超えた。恐らく次で両手も超えるだろう。
「カタクリ!」
「お昼ご飯はステーキハウスが良いです」
 半ば飛び込むようにコールセンターに辿り着いたダンデへ、カタクリは遠慮なく要求した。



 程よい焼き加減の焦げ目がついた肉にナイフを滑らせると、さほど力もいらず音もなく切り分けられる。添え付けの焼き石に再度押し付けるか迷ってから、そのままソースをつけて頬張り、ようやっと気難しかった顔がゆっくりと喜色満面にとろけた。
「美味しいかい」
 聞くまでもないが、カタクリは滅多に見せない顔で何度も頷いた。隣で特製フードをもぐもぐと頬張るニャースもあの独特な笑顔で鳴く。
「おいしい…」
「好きなだけ好きなものを食べるんだぞ…」
 正直、この店の1番ランクの高い肉を奢ってもいいくらいの迷惑はかけたつもりはあった。
 そう言ったものの、カタクリが大した量を食べられる訳ではないのはダンデも知っている。ダンデの前にあるステーキは通常グラムだが、カタクリが食べるのは更に小さなグラム。恐らくこれを食べてデザートも頼めば「もう満足」と幸せそうにお腹をさするのが簡単に想像できた。
「お昼からステーキ食べれたので結構満足です」
「普段は…あぁ、カレーか。キャンプが多いと昼間にカレー以外が恋しくなるのは分かるよ」
「ハンバーグとかブルスト入れたりするんですけど、基本の味がカレーで全部塗り潰されますよね」
「何を入れても最終的に食える味になるのは助かるけどな」





「なぁ、またダンデ迷子だって」
「今度はどこだ。…あっ、ルミナスメイズかぁ」
「カタクリのこれ、もうネタツイートだよな。まぁスレッドも悪ノリっていうか大喜利大会始まるし」
「まぁすぐ見つかるしな……早速見つかったってよ」
「最近この2人結構見るよな。トーナメント終わってカタクリが色々出てきてさ」
「トーナメント戦、悪くなかったけどメル相手にあっさり終わったよなぁ…。キュウコンで粘ったけど。確かにあれ終わってからインスタとかイベントよく見るな」
「バトルタワーの監修してるダンデの付き人ってツイートある」




ダンデとカタクリでえろい話にする場合
「取られる?カタクリを?」
「そうそう。あいつだって最近モデルだとか広告宣伝の仕事受けてるし、トーナメント常連だし、とっくに独り立ちして食ってけるレベルになってるんだぜ、生意気なことに」
「中々熱狂的なファンもいるな。この間カタクリ目当ての女性がバトルタワーで勝ち進んできたくらいだ」
「あいつ女にモテるけどな…。あんまり黙って見てたら、ふらっと出てきた馬の骨に取られるぜ。余計なお世話だけど」
「お前の言葉は覚えておくよ。今の所はまだ誰とも付き合ってないから大丈夫だろうけど」
「…知ってんのな」
「あの子はあんまり嘘が付けないんだ。顔に出るし、オレかホップが聞けば絶対答えるしな。念の為裏もとったけど、カタクリは今まで誰とも付き合ったことがないぞ」
「ガチじゃん…うっわオレ実は墓穴ほったか。ちなみにダンデはカタクリの何をどこまで知ってんだ?」
「改めて言われると…どうだろうな。処女なのは知ってるよ……あ、内緒だからな」
「…………」
「普段は全く懐かないエネコみたいなのに、部屋に戻ってプライベートになるとメタモンみたいになるんだ。それと料理ができて美味い。風呂の後髪の毛を放っておくと怒るし、撫でたら静かになる…うーん、思ったより出てこないな」
「おーい、ダンデサン」
「どうしたんだ、キバナ」
「あいつの年齢は?」
「17歳だな。次の冬で18になるよ」
「冬…あと一月ちょいか。まだ手は出てないんだよな?」
「おいおい、穏やかじゃないな。オレはあの子より大人なんだぞ」
「…ま、そうだよな。お前に限っ」
「きちんと18になってあの子の了承をもぎ取ってから手を出すさ」
「…………。そっかー」


「よう、カタクリ」
「どうも、ご無沙汰してます」
「相変わらず顔固まってんなぁ…」
「…何かご用ですか?」
「怖い顔すんなよ。単に世間話しにきただけだっての」
「はぁ…。あぁ、この間バンクのCM出てましたね。フライゴンかっこよかったです」
「サンキュー。お前も最近写真集出たって聞いたぜ」
「軽く黒歴史なので忘れてください」
「ダンデが配ってたから忘れられねぇな」
「帰ったらあの人しばきますね、ありがとうございます」
「そういや、最近ダンデと何かあったか?」
「あぁ…えぇ、まぁ。キバナさんが焚き付けたんですね」
「いや、元からあいつが自分で着火してたんだぜ。オレ様は気付いただけっていうか割と被害者。どうよ、あれからあいつは」
「どうもこうも、そんなに変わりません。元から朝昼晩一緒みたいなものですし、少し…大分触ってくるようになったぐらいです」
「…あれ?一緒に寝たとかじゃねぇの?」
「そういう空気になるとでも?ポケモンも一緒だからそういうのはありません」
「…おっかしーな。あの口ぶり的にそっこーでやるかと…」
「そんな下世話な話だけなら行きますよ。次そんな話題にしたらカブさんとメロンさん呼びます」
「ガチの説教じゃん…」

大分触ってくるようになった……ポリネシアンおせっせの前準備中。無論そんなこと知らないカタクリさん
告白されてから頬にキスまでのスキンシップを許しているので毎日色々しているが、カタクリさんがとても無知なので気づいていない。
そのうち頂かれるし、かなり強烈な初体験になる












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