平和に行きましょう。
そのいち
寝台の上で微睡みから覚めたように、心地よい感覚から薄く瞼を開く。窓の縁へ突っ伏していた身体は緊張と眠気が薄れると共に弛緩した。
ふと部屋の隅を見れば、やはり無抵抗に動きを見せない子どもの姿があった。毛布を抱き締め小柄な身体を更に丸く縮める様子は見たまま小動物めいている。すぐそばの布団で寝ない頑固さの割に、毛布一枚をちゃっかり拝借している辺り子どもらしい図太さと強かさは垣間見えた。
ふと思い立ち、防壁めいた毛布を剥ぎ取った。外気に晒された身体が震え喪失を埋めるように身動ぎする様子に、多々良は納得と同時に落胆の表情を見せた。
「…やはりまだか…」
落とし子の本格的な定着は、その宿主が抵抗をやめた時に始める。恐ろしく深い眠りがサインだ。
あねや側からの報告では、例の山奥に運んだ生徒の一部は予想通り既に牢にぶち込まれていた。残りはその一部始終を見ていた為萎縮しきっていた……と思われたのだが。
懸念材料だった虎杖が数時間前の夜明け、相棒の赤城十影が自ら起こしたボヤ騒ぎに乗じ、世話役だった一人を人質を取って逃げ出した。
大人しくなるかと期待していただけに、聞いた時には盛大な溜め息が漏れた。
「まさかこの子まで連れて行くなんてなぁ…」
虎杖が沙良を好いているのは見ていて分かる。が、本当に好きなだけでこの絶滅危惧種のような存在を理解出来ていないのではないのだろうか?
何にせよ多々良はこのどうしようもなく脆い子どもを壊さないように、壊されないようにと酷く気を使っている。というのも、箱に閉じ込ておくような感情とは毛色がまた少し違うのだが。
「…夢、を見ました」
夢。
酷く不快げに口を閉じたきり、沙良はそのまま膝に顔を埋めた。
「夢?」
「…………。貴方は見ないんですか」
「多分あるのかもしれないけど覚えてないよ。あったとしても面白くも何もないだろう」
「そうですか」
既に沙良の頭は
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