平和に行きましょう。


 咄嗟の行動とはいえ人一人の人生を左右したならそれ相応の責任はある。考え無しの代償ともいえるそれについて沙良は何度か思い返しては後悔も反省もしながら、けれど最終的にはそれで良かったのだと自答していた。
 

 いよいよもってこの小娘は馬鹿な真似をした。人ではなく、されども神話生物とも言い難い自分を見張るという名目の為に希少な魔術を学び実行したらしい。加齢を緩やかにさせ、小娘は最期の時まで己と同じ見捨てられた長寿を歩むという。
「そんなことするくらいなら、僕を殺せばいいだろうに」
「嫌気が差したらそうします」


「人間が人間たりえるのはあらゆる面で紙一重だからだ。分かるか?」
 いつかのように窓辺に肘を掛け、けれど煙草の代わりに飴玉を含む。舌先で転がす味はとにかく甘ったるくて仕方がないが、ここ数年ですっかり馴染んだ味でもあった。
「善悪、生死……正気と狂気。鏡合わせでバランスが取れるからこその人類だ。逆に片方に偏り過ぎた存在が人間と呼べるのか。持論だが無理だろうな。遺伝子に設計された寿命を遥かに超えて生き続ける奴は明らかに逸脱しているし、死んでもなお活動できるのはただのゾンビだ。その点では僕だって今年で多分160歳。しかもあと200年もすれば外に出られない化け物に変わる」

































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