平和に行きましょう。

いち


ユスラ
そこそこ古い魔法使い。歳は500年そこらで、「ダ・ヴィンチとかナマで見たことあるよー」が自慢。
生死にまつわる魔法を得意とし、死体を生前のように動かすこともしている。そうした性質から根っからの個人主義で、魔女の相互扶助関係や弟子もいない。唯一師がいるが、最早魔法使いとも呼べない存在なので既に関係は解消されていると勝手に思っている。
旧き神の幼体を連れている。色んな所から狙われているが、監視しようとしても監視者が発狂するか壊れるかの2択になる。


蘭夜行
傭兵として死んだが、裏取引で死体をユスラに買い取られ使い魔として蘇らされた。とてもいい迷惑。死因で潰れた左目にはジルコンを用いて作った義眼が嵌められている。
魔法使いについては全く信じていなかったが、目の前で隣人やらなんやらを見せ付けられて腰を抜かした。
死体なので人間的な生活をする必要はないらしいが、精神と術の乖離が激しいと綻んでしまうので食事と睡眠は特に推奨されている。ちなみにユスラの食事は、不味くはないが非常に危なかっしいので取り上げた。
望めば護衛の給金は出るし、衣食住も完備、雇い主も美人なので今のところ大きな不具合はない。




「ええと、まず貴方の境遇を説明していきますね」
 にこにこと、まるで邪気のない真面目な顔で「魔法使い」は夜行の目の前に紙とペンを取り出した。てっきりもっと古めかしくて時代錯誤な羊皮紙とか羽根ペンを使うのかと思えば普通に現代と迎合していて、まぁそんなものかと気を取り直す。
「ヨルユキさんは、自覚しての通り死んでます。左目を銃で射抜かれて、頭部以外は綺麗ですよ。肝心の頭はー……、ぶっちゃけその、中身が結構垂れてしまってて、記憶がかなり抜けてるかもしれません」
「あまり違和感がないのはあんたのお陰ですか」
「私がしたのは保全なので、多分単純に貴方の脳が錯乱しないように都合良く解釈してるんだと思います」
 そういうものなのか、とひとまず置いておく。下手をしたらどこまでが本当で嘘なのか、はたまた全てこの女の嘘ではないかと疑いだしてはキリがない。自己認識の哲学をやるつもりはなかったので、そのまま続けるよう促す。
「こほん。それで、潰れた左目については義眼を用意します。正直ないとあちこちぶつかって危ないし」




 迷宮の守番と呼ばれているものの、ユスラが出来ることはあまりない。遠い遠い昔、こちらの世界で別の神に捕まったかの神の雛を抱き上げてから、雛にも神にも殺されない程度には気に入られてしまったのがことの始まりだ。
 役目が出来てから各地をさ迷うことなく、谷に定住するようになった。運命に縛られたとも言えるが、特段愛着のあるものがある訳でもなし、今まで通り畑を耕し、薬を作り、めぼしい死体を探すことに支障はなかった。雛は害どころか見守らないとうっかり死んでしまうようなか弱い生き物であるので、一日に2度飯をやり、あとは好きにさせてやれば不満なく過ごしている。まるで犬のようだが、これまでの扱いで神の怒りを買うこともなかったのでこれで良いのだろう。





















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