平和に行きましょう。

にじのくに


 奪った分だけ与え、失くした分だけ作り、 もらった分だけ返すのが、不変の妖精郷。
 妖精族の中でもとびきり厄介で、とびきり美しい者たちが住まう、それが虹の国と呼ばれる場所だ。

 
「まー入国する時に『如何なることがあろうと自己責任』って署名しなきゃ入れないような国ですから。滅多に人が入りたがらないし、国から出るって発想がまずない国民だし、どうしても情報が流れにくいし噂が独り歩きしやすいんですよねー」
 かくいうユスラも、NRCの入学案内が来るまで虹の国から出る予定なんて全くなかった。というのも、そもそも寿命や文化の差からどうしても排他的になりがちな妖精族の中でも、特に気分屋で人間の常識から乖離した者たちが集まって出来たのが虹の国。実力主義により選ばれた女王に統治され、美しく天国のような楽園を作り上げた為にどうしても「融通のききにくい国外に出るメリットがほとんど無い」と結論に至って誰も外に出たがらないのだ。正直にいって魔法に関して学ぶことは少ないユスラがそれでも入学したのは、そういう国外と国内のギャップを知って女王に報告する為でもあった。
「例えば、『悪い子は虹の国の妖精たちに連れ攫われて心を抜かれちまうよ!』っていう子どもを躾けるための言葉があるんですっけ。分かってると思いますけど、普通に禁止魔法だから使えません。でも国民の気に触ったり、逆に善意で草人形というオブジェに変えられることはたまにあります。だから正しくは、『悪い子は草人形にされちまうよ!』です」
「全然訂正になってないじゃないですか。あと草人形ってなんです」
「虹の国でトピアリーになった他種族のことです」
 分かりやすく教えてあげたというのに、目の前の友人は心底嫌そうな顔になってしまった。今国内にある草人形は全て密入国者や密猟者などの犯罪者のみで、正規の手順をもって入国した者が万が一草人形にされてしまった時はすぐさま解呪されて安心安全なのだが、どうやらそういうことではないらしい。あと犯罪者以外にやると女王に罰せられるので、余程無礼な真似をしない限りは国民たちも手出しなどしないのだ。


ユスラ
虹の国出身
メリアと呼ばれる植物に連なる妖精族。体に花を咲かせており、気分次第で満開になったり萎れたりするが、枯れることは無い。
虹の国という超鎖国国家で過ごしてきたせいで常識がかなりズレている。
長命種で現在はまだ17歳。同株(双子)の弟がいる。睡眠が不要ということもあって、消灯時間以降は暇すぎるので小説を書いている。割と評判がいい。たまに普通に寝る。
昼の妖精か夜の妖精かと言われたらどちらでもない。羽がないので空は飛べないが植物は操れる。

メリア 草花を祖とする種族
美男美女揃いで有名。生まれ方も特殊かつ、同種族の中で寿命差が著しいことでも有名。短命種は10年、長命種は300年と差が激しい。

ハイヤ
夜の眷族の妖精。特に占いに秀でた一族出身でありたいていに言うと金持ちのお坊ちゃん。
ユスラに一目惚れしてずっとアプローチしている。健気だがかなりやばい。ユスラのズレた感覚すら愛おしくて堪らず、学校生活中は寮以外殆どの時間を共に過ごしている。



「私たちメリアは虹の国を彩る使命があるんだよ。あそこの住人はみんな綺麗なものが好きだから、綺麗な花を咲かせて景観を盛り上げると物凄く尊敬されるの」
「あぁ、子供の時ばあ様に連れられて行きましたよ。確かにあそこは美しかった」
「でしょー。最近だと『死ぬまでに行きたい観光地TOP10』に選ばれたとかで評価されたし、今からアツイよ。まあ無礼な人が来たら、草人形もその分増えそうだけど」
「それは人間が悪いからしょうがないですよ」




























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