平和に行きましょう。
砂塵
砂塵がうねり、海のように波打ちながら石材の街を遅遅として、しかし確実に削り取っていく。
本物の海とは異なりなんの益ももたらさない荒涼の海。初めは石造りの街だったらしい。それが世界大戦が始まってしばらくして、魔法使いの都合で街全体が戦場となった。魔法使いが殺戮として使った砂塵化の大規模な魔法陣により、街の半分が砂に還ったのが砂の海の大元だ。
そして砂と死体と廃墟を生み出すだけ生み出して、戦争は次から次へと場所を変えて行われた。放置された砂の海はただ風に流されるだけの廃墟だったが、戦争が終わりに近づくにつれて行われた月と太陽すらねじ曲げた魔法で妙な引力が生まれたという。ただ凪いでいたはずの砂が星の力でうねり、動き、廃墟を更に廃墟をたらしめ始めた。そうしてゆっくりと周囲を飲み込み、現在の砂の海が出来上がった。
音もなくさざめく砂の海は、かつて長閑に暮らした者達の墓標なのだ。
「三文芝居で聞くような信憑性のない話だな」
「話してたおじーさんも耄碌してたもんね」
ロマンも歴史の重みもへったくれもなく、ロウとソウは実に素直な感想を口にした。
「でもそんな話真に受けて、島にあるっていう備蓄ぶんどりに来たおじさんもおじさんだよー」
「反対しなかったお前も共犯だ」
「どーしよ、おじさん。この街機械文明に染まりすぎてて魔素全然ないや」
「マジかよお前、魔法使えないとか燃料切れのライター並に使えねぇじゃねえか」
「」
食料を詰めた鞄からビーフジャーキーと香辛料、そしてパンと携帯食糧を取り出す。
「水は用意できたか」
「バッチリー。今沸騰させてるよー」
折り畳みナイフでビーフジャーキーを雑に細かく刻み、ふつふつと泡立つ鍋へ先に入れる。次に乾燥した香辛料をこれまた雑に切り分け、そして携帯食糧を1本、粘土質なそれを千切って諸共全て鍋へ豪快にぶち込んだ。
「焦げないよう混ぜてろよ」
「おっけー」
段々とスパイシーな香りが漂う中で煮沸消毒した湯にティーパックを入れ、更に蜂蜜もたっぷり入れておく。最後にパンを2切れ用意し、深い皿を取り出して鍋を覗き込む。
パッと見は泥色のドロっとした泥だが、一丁前に匂いだけは良い。明らかに最後に入れた携帯食糧が泥の要因だが、栄養失調にならない為にも食べないわけにもいかない。
「おじさん特製の泥みたいなドロドロスープかんせーい」
「はっ倒すぞクソガキ」
「なんだかんだちゃんとおいしいのは天才だとおもうよ」
「黙って食え」
泥みたいにドロっとした泥のスープ
ビーフジャーキー…4切れ
香辛料(未鑑定)…とりあえず掴めるだけ
携帯食糧…4本入りの内1本
ソウは普通に美味いと評し、ハイヤも我ながら食える料理だと思っているが、普通に不味い
溶けきっていない粘土のような携帯食糧がどろりとしていて食感は酷く、入れすぎた香辛料で味が辛い。頼みの綱であるビーフジャーキーは水の量に対して量が少ない為、出汁を搾り取られて味のない肉と化している
改善点は香辛料を減らしジャーキーを増やすことと、携帯食糧は入れずに普通に食べること。少なくともスープは味気ないが飲めるものになるし、不味い携帯食糧は不味いだけで済む
総評、泥
蜂蜜たっぷり紅茶
ティーパック2人前
蜂蜜…好きなだけ
普通に甘くて普通に美味しい普通のお茶
パン…2切れ
もそもそしてる。美味しくないが不味くもない
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