平和に行きましょう。

見習いがくる


 沙にとって、それは青天の霹靂とも言える出来事だった。夢物語のように他人事だった話が、ぽんと目の前に用意されたのだ。
「どうされたのですか、主」
 文を読んでから間の抜けた顔で固まる子どもを心配した蜻蛉切が顔を覗き込もうと、視線は文字を追ったままだ。ぱちくりとした目が信じられないとばかりに文書を追い、たっぷりと時間を掛けてようやっと顔を上げた。
「見習い審神者の研修先に、ここが決まったって」
「なる…ほど。拝見してもよろしいですかな」
「ん」
 他本丸との情報交換と称して遊ぶ沙とて「見習い=乗っ取りの危険性」が思い浮かぶ位には有名な話だ。どこどこの本丸が誰かに乗っ取られただの、実際に聞いたこともある。内部分裂を目論む遡行軍の妨害によるデマだの、政府高官による闇金の取引など色々な話が出回った末に、沙は半信半疑で話を聞いてきた。
 聞く話によれば、天下五剣や滅多に現れない刀剣男士が多く集まる本丸が乗っ取りの標的になりやすいだとか。実際、沙の本丸には、太刀を中心に珍しい顔触れが多く集まっていた。粟田口に関しては、妙に縁が薄い気がするが。
 更に物騒な話として、霊験あらたかな呪具を用いて洗脳するだの、無理矢理本丸の霊力を塗り替えて主導権を握るなど、ハードプレイもあるらしい。
「まぁ、悪い事考えてもしょうがない」
「で、あれば?」
「困った時は長谷部」
 手打ちと寺社焼き討ちに一家言ある男におまかせコースである。





 正直に言うと、かなりチョロい案件だと思っていた。
 事前情報として聞かされていたこの本丸の主は、まだ齢12程度の小さな女の子。物事に疎く、刀剣男士に世話を焼かれる姿がよく見られている。政府や大人に従順であり、また恵まれた運で珍しい刀剣男士らを数多く顕現させ貢献している。子どもにしては中々の戦歴だが、初期刀の歌仙や近侍の蜻蛉切が上手くリードしている結果だというのがもっぱらの評価だ。
 故に、この子どもを口先で上手く丸め込み、簡単に華々しい刀剣男士や戦歴を手に入れられるのだと。そうでなくとも、何か粗を見つけて適当なでっち上げでもして追い出せるのだと。
 途中まではそう確信していた。

「いらっしゃいませ。備中国が審神者、沙です」
 定刻通り。門より本丸のある空間へ踏み入れると、既に子どもとその近侍、蜻蛉切が待ち構えていた。小綺麗な姿は見たまま育ちが良さそうで、存外ただ甘やかされているだけでは無さそうな隙の無さだった。
「この度はお世話になります。まだ審神者の名前がないので、そのまま見習いと呼んでください」
「分かりました、見習いさん」
 下手に年上だと緊張するが、自分より三つ年下だと思うと自然に口も気安くなる。審神者も、子どもらしい表情で微笑んだ。凛としてかなり整った顔立ちで冷たい雰囲気だが、笑顔は花のように可愛らしい。豊潤な霊力といい、顔といい、芯はあるが従順そうな少女はさぞ神に愛されるだろう。
「じゃあまずはお部屋にどうぞ。そこで予定について話しますね」
「分かりました」
 隣にいる蜻蛉切はそのまま黙ったままだが、特別見習いを警戒することもなく、主と見習いを微笑ましげに見つめている。











「見習い殿ぅ、やめた方がいいですよ?いくら霊力を増幅させようと、貴方さまでは沙さまの本丸は無理なんです」
「あの方は、もう何年も何年もあの小さな身体のままなんです。持っている霊力があまりにも多くて、本丸では成長が出来ない程です。並みの霊力が5倍になろうと10倍になろうと、最大保有量の3倍を持たれる沙さまには勝てないんですよぅ」
「それに、見ての通り刀剣男士さまも沙さまにべったりです。政府もドン引きする位、愛されております。あの方を世話することがとんでもなく好きなロリコ…んんっ、保護者さまなのです。例え沙さまが納得して刀剣男士さまを手放しても、彼らは納得しませんし、貴方さまを殺します。それで済めばまだしも、最悪親類すら呪われるでしょう」
「リスク云々の話ではありませんけど、やめた方が命の為ですよぅ」






















乗っ取り失敗
焼き討ち手打ち大好きマンな長谷部が根回しして見習いを追い出そうとし、見習いも見習いで霊力塗り替えようにも化け物のような量相手に気力削がれたり、ロリ()の世話をとことんしたがるロリコン共に辟易とする

乗っ取り成功
「見習いを野放しにしておけば、自分たちだけが主を独占出来るぞ」と蜻蛉切と長谷部が結託し、本格的に沙ちゃん囲うパターン
成功した場合沙ちゃんは結構ガチな落ち込みで一時的に現世に帰宅するが、それにも「護衛が必要ですよね!」とゴリ押して一緒に着いていく
ちなみに本丸は沙ちゃんがいなくなった後に見習い即抹殺コース。主帰ってきて!になるが沙ちゃんが蜻蛉切と長谷部に依存コースなので省みることはない


















































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