平和に行きましょう。

おねこさま


 木目に沿い、爪先を滑らせる。冷たくて、けれどただの無機質でもない柔らかみのある木の踏み心地が気持ちよく、沙は素足で歩くのが気に入っていた。本当なら全身を廊下にへばり付けても良いのだが、流石にそれは歌仙や一期といった教育係に見つかると説教になると分かっている。やる時は口うるさい面々をまとめて全員遠征にぶち込んでからやる。
 濃ゆい木目と薄い木目。節が時々顔のようになっているのを見つけながら、ゆっくりと微睡むのも好きだった。


 歪みに歪んだ付喪神達の心の有り様なぞ、最早沙の手に負えるものではない。質実剛健を体現する蜻蛉切ですら沙に執着し、下手に近付く人間の男を酷く危うげな目付きで睨むのだから、他の奴らなどお察しである。
 御手杵は散歩みたいな気軽さで隠そうとしてくるし、長谷部は隙あらば生活の主導権を握ろうとしてくる。宗三は小夜と共に兄弟として取り込もうとする。今の所唯一の安牌が日本号だが、こいつの場合は目の前で沙を怪異に攫われた経験を経たせいで、一定時間姿を見かけないと少々面倒なことになる。
 沙だって一応将来に希望を見出す子どもなので、年端もいかない内から神様どもに囲まれるなんて真っ平御免だ。


































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