ベルフェゴール視点
「…」
「…」
「どうしたの?二人とも。ボーッとしてるわよ?」
「お前らなんで揃って寝不足なワケ?」
うつらうつらとするフランとガキに、呆れながら声をかけた。なに、こいつら。
「…それは、昨日の深夜のことでした」
え、なに。急になんか始めやがったんだけど。
しかもなんだよ急にそんなテンションになりやがって。
「ミーは、談話室で仮眠をとっていました。…ふと、頭が覚醒したとき、ミーのそばに気配があることに気づきました。ヒヤリとした風邪が、頬を撫でる。……なにかが、いる。そう思った途端、ミーは体が動かなくなるのを感じました。ミーは、ただ恐怖に震えていました。目を開けてはいけない。それを本能で感じ取ったミーは、頑なに目を閉じていました。そのなにかが居なくなるのを、待っていたのです。」
「おい、いい加減にしろよ」
フランに声をかけたが、フランは無視をして話しすすめる。
「…しばらくして、ミーはゆっくりと目をあけました。もう、危機は去ったと思ったからです。ところが、目をあけた途端、ミーは自分の行動をひどく後悔しました。」
部屋の温度が下がった気がする。フランが、自嘲気味に笑った。
「……それは、ずっとミーの前に佇んでいたのです。ミーと目が合うと、それはニタリと笑いました。そいつは、楽しそうな顔で、ミーの耳元に…「お前な゙あああああああああああああああああ!!!」
ビクッ。うわ、お、ちょ、やべ
ガタン!
「いてっ!」
椅子から落ちた。
あ、ありえねー。王子が椅子から落ちるなんて。
スクアーロのせいだ。
「まあ、そいつってみゆのことなんですけどねー」
「なんだあのガキ…ん?」
「お前、しじみだとかクソガキだとか言ってたのに名前で呼ぶようになったワケ?」
「いやー、昨日の夜から今朝にかけて友情を深めましたんでー」
なんだよ、こいつ一番ガキのこと嫌ってたのに。
「ふらんさん、ずっとこわがってた」
ガキの言葉に、フランがガキをバッと見た。
「は?そっちのほうが、」
そして勢いよく喋り始めたが、言葉をつまらせた。
「…あー…」
それから、恨みがましくガキを見た。なにこいつら。どんだけ仲いいんだよ。
「…せんぱーい、聞いてくださいよー。こいつ、ホラーゲーム大丈夫らしいですよー」
「お前は苦手なの?」
いきなり俺に話しかけてきたフランに返すと、フランは黙ってこちらをジトッと見た。
「まじかお前、この世界向いてねーよ」
「幽霊とか実体がないから殺せないじゃないですかー」
言い訳がましく言うフランに、ため息をつく。バカかこいつ。
「だから向こうもこっちに危害加えられねえだろ」
「ハッ…センパイ天才ですかー」
「ししっ」
今さら気づいたの。なんて言っていたら、スクアーロがフランに話しかけた。
「お前ら、朝までゲームしてたのかぁ?」
「ふらんさんがかえらせてくれなかった」
「お前…ガキだなぁ」
「ガキじゃないですー。眠れないみゆの相手をしてあげてたんですー」
呆れた様子のスクアーロにやっぱり言い訳がましく喋るフラン。言い訳っぽいっつーか言い訳だな。
「さあ、いいからご飯食べちゃいなさいよ!」
「はーい」
ルッスーリアが、パンパンと手を叩きながら言った。
冷めてら。こっそりスクアーロの皿に嫌いな人参の甘露煮を移そうとしたら見つかって怒られた。
ルッスーリア視点
「るっすさん」
ごちそうさまをしたあと、みゆちゃんが台所にお皿を持ってきてくれた。
二枚多いわね、フランちゃんとベルちゃんのせいかしら。まったく。
「ありがとう」
みゆちゃんの頭を撫でると、みゆちゃんははにかんだ。可愛いわぁ。
「るっすさん」
「なあに?」
「どうしてこんなにおおきなおやしきにすんでるのに、めいどさんたちいないの?」
「…」
質問をすることはいいことだわ。疑問は解消しなきゃ。それに、心を許し始めた証拠だしね。
…ただ……ねえ。
その質問はちょおおおっと困っちゃうわねぇ。
「あー…ボスが…ああ…なんというか…その…ねえ…」
「?…ざんざがなにかしたの」
「…まあ、いろいろ…」
小さい子に言える内容じゃないのよ!
不思議そうな顔をするみゆちゃんには悪いけど、これ以上は何もいえないわぁ。
…うちにも、何人もメイドさんは居たし、なによりもボスを筆頭に幹部があの顔だし…希望者は絶えないのよねぇ。
だけど…顔はいいけど、性格はあれだから。ボスとスクちゃんはあんまり相手にしないんだけど、ベルちゃんとフランちゃんがちょっとねぇ。
ひどい嫌がらせするのよね…。あれはアタシでも泣いちゃいそうだわ。
詳しいことは言えないわよ!!!!!
「まあね、大人の事情があってね、メイドさんは雇えないのよ。というか、雇わないようにしてるの」
「おとなのじじょう…」
どことなくジトッとした目でこちらを見るみゆちゃんに、誤魔化すように笑った。
あらあら、ずいぶんと感情を出すようになったわね。
「でも、みんなるっすさんがいるから、あんしんだね」
「…!きゃーん、もうカワイイ!!!!!みゆちゃん、素直なままで居てね!」
あまの可愛さにたまらず、ぎゅううううっと抱きしめて、頬ずりした。ぐりぐり!
こんな天使が、暗殺部隊に居ていいのかしら。
「ねえ、みゆちゃん今日は予定ないかしら?」
「うん」
「今日は、お昼はみんないないから一緒にお茶しに行きましょう!」
「やったー!」
嬉しそうに笑うみゆちゃんに、こっちまでニコニコしちゃう。
さて、今日のお昼が楽しみね!
たあっぷりガールズトークしちゃうんだから!