「うぉおお゙おぉ゙い!誘拐じゃねぇかぁ!」
「マジで言ってるんですかー?」
「ボスったら…大胆…」
ルッスさんがほう、と呟いた。
なんかベルフェゴールさんにすごい見られてる。
あ、近寄ってきた。
「…ほら」
ベルフェゴールさんが、手のひらを私の前に出して、一度拳を握った。
そして開くと、そこには飴が乗っていた。
「!」
びっくりしてベルフェゴールさんを見つめる。
マジシャンか!
でも、これ…「ほら」ってことは…貰ってもいいのかな…?
……さっきまで睨んできてたけど…。
ちらりとベルフェゴールさんを見ると、ベルフェゴールさんもじーっと私を見つめていた。
「やるよ。…飴嫌いとか?」
「すき」
「じゃあやるよ」
コロン、と飴(苺味だ)が私の手のひらに乗った。
「……ありがと」
「せんぱーい、さっきまで警戒してたくせに何やってんですかー?」
「あ?うっせーな、ほっとけ」
フランさんがベルフェゴールさんに近寄った。(つまり私にも近寄ってきた)
「…あら、ベルちゃんって小さい子好きだものねぇ?この前も公園で遊んでたでしょ?」
「ばっ、おま、見て!?」
ベルフェゴールさんが焦ってルッスさんを見た。
フランさんは驚いたようにベルフェゴールさんを見ている。
「そうだったんですかー?」
「ええ。結構行ってるみたいよ」
「ー……〜〜!!!!」
ベルフェゴールさんがしゃがみこんでしまった。耳が真っ赤だ。
そうか。小さい子好きなんだ。
「あれ?じゃあ、何で最初は警戒したんですか?」
「…」
「ベルちゃんってば恥ずかしがり屋さんだものねぇ!」
「ば、オカマまじ黙れよ!」
「ははーん」
フランさんがにやりと笑った。
「ミーたちにバレたくなかったんですねー?」
「まあ、いきなり見たこと無い奴がボスの後ろに居たら警戒はするだろうがなぁ」
「あら、ボスが連れて来たのよ?悪い子じゃないわよ」
ねー?とルッスさんが私の顔を覗き込んだ。
とりあえず、ねーと同意しておいた。
「お゙ぉおおおお゙い!ボスさんよぉ、血まみれじゃねぇかぁ!」
「うるせぇ」
「ゔぉ!」
ガシャンッ!と音がして、スクアーロさんの綺麗な髪の毛が濡れる。
…ゔぇっ!?くっさ!え、くさっ!
思わず鼻を袖で覆った。
「てめぇ…!また酒投げつけやがってよぉ…」
…お酒か…。
というか……、いつものことなのか。
「いいからさっさと風呂入れぇ!」
「チッ」
あ、舌打ちした。
スクアーロさんもお風呂に入るらしく、ザンザスさんと一緒に出て行ってしまった。
「……まあ、いいですけどねー」
フランさんが、溜め息交じりに呟いた。
「…えーと、名前なんて言いましたっけー?しじみでしたっけー?」
貝かよ。
しかもしじみかよ。
「みゆです」
「……しじみですか」
「みゆです」
「よろしくお願いしますねー、しじみさんー」
「みゆです」
「……ゲロ」
しつけーな、というようにフランさんが顔を歪めた。
「しじみさん」
「みゆです」
「しじみさん」
「……………かえるさん」
「ゲロゲロ!?」
フランさんが大げさに驚いた。
「ナマイキですねー」
ぐに、とほっぺを伸ばされる。
「ゔぅ」
「変な顔ー」
むっとしたので、フランさんのほっぺを握って伸ばす。
「ゲロッ」
何を隠そう、負けず嫌いなのだよ私は!!
ぐにぐにーん。
むにむにーん。
「……しじみ」
「……かえる」
「…」
「…」
にらみ合っていると、ベルフェゴールさんが溜め息を吐いた。