よくある光景

午後の授業。五時間目は英語だ。厳しい目つきの男教師が、教科書の英文を読み上げている。
俺の席は窓際の後ろから二番目で、日差しがぽかぽかと暖かい。ふと教室の真ん中の丸井の席に目をやった。机に体を伏せている。
あれは爆睡じゃな。
そう言う俺も大分日差しにやられてきた。


「プリント配るぞー」
ガサガサ。
ザラ紙のプリントが回ってきた。後ろの席の女子に渡そうとして後ろに手を伸ばす。受け取らない。
後ろを見て、溜め息を吐いた。こいつも寝とる。クラスの6人は寝ていた。うまく誤魔化しているつもりでも、頬杖がだんだんずれている。ごんっ。誰かが机に頭を打ちつけたらしい。

もうそろそろ教師が怒り出すだろう、と思いつつ、プリントをハサミで切る。静かな教室の中、教師の声とハサミの微かな音が聞こえた。
大小さまざまな四角形を切り取り、端の長細い紙は丸めて机の下に落とした。

大きめな紙を選び、紙飛行機をつくりはじめた。
速く飛ぶ形、長く飛ぶ形、…。慣れた手付きで紙を折り進める。
できた紙飛行機を机の端に寄せて、今度は小さめの紙で鶴を折り始めた。







「起きろっ!!!」
急に教師が大声を張り上げたので、ビクッと三匹目の鶴から手を離した。
周りがザワザワしている。
丸井が寝ぼけ眼で起き上がるのが視界の隅に見えた。

「丸井、寝るなと何回言ったらわかるんだ」
「すいませーん…」
ククク、と笑った。また怒られてやんの。すると、教師がぐるんと俺の方を向いた。うわ、やべ。

「仁王もだ!!毎回毎回鶴やら紙飛行機やら折って!!」
「すいませーん…」
肩をすくめて、机の上の作品を崩れないように机の中に押し込んだ。丸井がこちらを見て歯を見せて笑っていた。授業終了まで、あと15分。俺は、教科書にパラパラ漫画を書くことに集中し始めた。丸井はまたうつ伏せた。寝てないぶん、俺のほうが丸井より優等生じゃと思うんじゃけどなぁ。