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※レオのバルボへの恋愛相談。
相談があるの、とレオは神妙な面持ちでバルボへと声を掛けた。何事かとバルボがそれに応えると、レオはどこからともなく酒を取り出し飲むように促した。
まさか酒を飲みたいがために誘ったわけでは、とバルボがレオの表情を窺うと決してそんなことは無いようで、栓を抜く間もあまり明るい表情には見えなかった。
乾杯、と瓶を合わせて一口飲んで相談事を聞こうとすると彼が先に話を切り出した。
「ねぇ、兄貴。愛って何だと思う?」
「どうした、突然。それはレオの得意分野じゃねぇのか?」
「それがね…。アタシ、名前のことで分かんなくなっちゃって…悩んでるのよ」
女に言い寄られることが多いレオは、そんな女が嫌いだと何度も言っていた。しかし名前と出会ってから彼は変わり、彼女の隣で笑っていることが増えた。そして表情が乏しかった名前にもレオと共にいると笑顔が見え始め、2人の仲が良好なことは次第に周知の事実となっていった。
そこで問題となるのが、2人がどんな関係なのか、という話であった。
「友達でも仲が良ければ一緒にいたり、ハグしたりするでしょ?好きだって思うでしょ?」
「まあ、そうかもしれねぇな」
バルボに女の友情が分かるかといえばそんなことは決して無いのだが、彼はセリカとメイの友情を思い出し、レオの言葉を飲み込んだ。
「そしたらね、カムイったら名前が他の男と同じことをしてもお前は許せるのかって聞いてきたのよ?名前がカムイと話してるのを見るのも嫌なのに!」
はぁっ、とレオは苛立ちを込めたため息を吐いて机に頬杖をついた。カムイが少しはレオのことを考え始めたかとバルボは嬉しさを隠すために酒をくびっと喉へと流した。
バルボは常々、レオに女性を愛してほしいと思っていた。自分のことを信じて付いてきてくれるのは心強く喜ばしいことであったが、戦いが終わった後の彼の将来をずっと案じていたのだ。
「レオは名前のことが本当に大切なんだな」
「ええ、そうよ。守ってあげたいし、側にいてほしい。アタシも、あの子の前だと無理しなくていいって思うの。ねぇ兄貴、アタシおかしい?」
おかしくはない、とバルボは即答したが、それが友情の延長線なのか恋愛感情なのかは分からないがと心の中で付け足した。ところで、カムイにそう聞かれて嫌だと答えたらあいつはなんて言ったんだ?と問い掛けると、レオはしぼんだ声で言葉を濁した。
「それは…。恋愛じゃないのかって」
「俺に言ってきた悩みってのはそれだな?」
「…アタシは兄貴のことはとっても好きよ?でも、名前のことも好きなの。それが恋愛なのかどうなのか、分からなくて」
性別で人を判断するのは難しいものだ、とバルボはレオと出会って実感した。男だから、女だから、と強制されることはこの世の中多いが、彼はそんなしがらみに縛られようとはしなかった。そんな強さ、そしてそれ故の弱さが彼の魅力だ、とバルボも理解していたが、かといって彼自身がレオを思う気持ちは友情、もしくは信頼から来る愛であった。
それがレオの望む形ではないと日頃から分かってはいたからこそ、彼の変化はバルボにとって非常に嬉しい出来事であった。
「分からなくてもいいじゃねぇか、レオ。側にいたいと思ったら側にいてやればいい。名前もお前がいないと…」
「よっ、バルボさん。と、やっぱりレオもいたのか」
バルボの言葉を途中で遮って現れたのはカムイであった。レオは手を挙げる彼の後ろに隠れている小さな見慣れた姿を見つけ、あーー!!と大きな声を上げた。
「ちょっとカムイ!アタシの名前に触んないで!」
「お、おいレオ!引っ張るなよ…!」
カムイの制止の声も聞かず、彼女の腕をぐいぐいと引っ張ってレオは名前を自分の腕の中に閉じ込め、カムイに文句を垂れていた。そんなレオを見上げて名前は静かに笑顔を見せており、仲睦まじい3人を見てバルボは酒を口へと運んだ。
どんな形でもいいんだ、愛なんて。そんなことを思いながら。
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