>
最初から彼女の存在は特別だったのだが、それを受け入れられなかったのもまた自分であった。昔隣にいたあの人を思い出してしまうのを恐れていたのかもしれない。だがその強情な気持ちも既に溶けてなくなり、今では彼女にベッタリだ。
まさかこの気持ちを乗り越えられる日が来るなんて、とレオは名前に頬擦りして口を開いた。
「ねーえ、名前。あんたは何でそんなに可愛いのよ?ずるいわ」
「可愛い?」
「ええ、可愛いわ。周りの男もそう言うでしょ?ほら、この前だって……」
「うん。でもそう言われても全然嬉しくない」
レオが後ろからぎゅっと小さな背中を抱き締めれば、当たり前のように彼の腕に名前の細い腕が添えられた。そのまま彼女の肩に顔を埋めれば、安心する匂いに包まれてレオは笑みを浮かべた。
「擽ったい」
首元に当たる髪の毛から逃れようと名前が頭を動かした瞬間、レオは彼女の頬へちゅっと優しく口付けた。
「あーんもう、本当に可愛い。名前が好きで好きで堪らない」
「ふふ。レオ、どうしたの?」
「名前はアタシの最後で最高の女」
くるりと彼女の体勢を反転させ、レオは名前と向き合ってそう伝えた。好き、愛してるなどといった単純な言葉で表せられないほど彼は目の前の女性に想いを寄せていた。
両頬を掌で包み、視線を合わせると真っ直ぐな瞳が彼を射抜く。そのまま食むように口付けると名前は瞼を閉じ、それに答えた。
「ん…はぁっ……」
苦しそうな名前の様子をレオは薄目を開けて確認し、ちゅっと大きな音を立てて唇を離した。
「どしたの、そんな顔して」
「どんな顔してた?」
「んー、そうね。物欲しそうな顔かしら?」
ふふっと悪戯に笑うと、名前は不満げな表情を見せてレオの胸へ顔を埋めた。よく見ると髪の間から除く耳が赤くなっているようにも思える。レオは彼女を再び抱き締めて、耳元で囁いた。
「大丈夫、満足させてあげるから」
「っ!レオ!」
「あら、なぁに?まだこれからじゃない」
がばりと顔を上げて必死に彼の名を呼ぶ名前があまりに可愛くて意地悪を言うと、彼女は予想通りふいっと顔を逸らした。もちろん、全てが彼の腕の中という狭い空間で行われているのだが。
未だに赤い耳朶を見てレオはくすりと笑ってその耳を舐め上げた。
「ふぁっ」
「可愛い声出しちゃって」
「レオのせい!」
「名前が可愛すぎるのが悪いのよ」
彼女は恥ずかしがるとすぐに彼の肩や胸に顔を埋めるのだが、もちろんのこと耳まで隠すことは出来ない。レオはそれを予め分かっていながら、彼女からの抱擁を受け止めているのである。
だが今回はこれで終わりには出来ない、とレオは男の本能の昂りを感じていた。
「あ、兄貴!」
「バルボ?どこに?」
バルボの名を出した途端、素直に顔を上げて周囲を見回す名前があまりにも愛しくてレオはくつくつと笑った。勿論バルボがいたというのは嘘で、彼女の顔を上げさせるためにレオがわざと言ったのだ。
その事実に名前が気付いた時は既に遅く、再び彼から呼吸が出来ないほどに熱い熱い口付けが送られるのであった。
>
→