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>一緒に住みたいと研磨はいつからか考えるようになっていた。彼女がいる家に帰るのは心地がいい。あの声が、あの笑顔が迎えてくれると思ったら一刻も早く家に帰りたくなってしまう。元々家は好きだが、それ以上に彼女に会いたいという欲が出るのだ。
「なまえ、こっち来て」
「ダメ、研磨明日の予習終わってないでしょ」
「えぇー…」
「明日絶対眠くなるだろうし一緒にやっとこうよ」
勉強するのは嫌だがなまえとやるなら仕方ない、と研磨は眠い頭を動かして明日の時間割を確認して数学と英語の問題集を取り出した。ふわぁと大きく欠伸をすると隣からなまえが覗き込んでくるので、その隙を狙って唇を奪う。柔らかいその感触を楽しんでいると、なまえがダメだと言わんばかりに研磨の肩を押しやるので仕方なく彼女を離してペンを持った。
「もう、油断も隙もない…!」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「良くない」
「なまえ、怒ってる?」
「怒ってます。だから早くやってください」
そっちが教える番じゃん、と研磨がいかにも不満そうな顔を見せるとなまえも負けじと不機嫌な表情をする。こんな下らないやりとりも彼女だからこそ通用するし許してくれると分かっているからこそ譲りたくないという子どもっぽい一面が出てしまうし、尚更意地悪したいという気持ちがふつふつと沸き起こってくる。
だが、此処は我慢してやるしかないと研磨は思った。ただでさえ試合で疲れている今、無駄な体力は使えない。
「しょうがないなぁ…ふぁ」
「研磨が寝ないように見ててあげるから」
「あー…眠すぎて無理かも…」
「ちょ、ちょっと研磨!」
なまえの肩に頭を預けて研磨は欠伸をした。瞼が落ちてきて我慢出来ない。あまりにも眠い。なまえはそんな研磨に最初こそ起きてと励ましていたのだが、本気で眠そうな彼に対して諦めたのか、寝るならベッド行こうと研磨の頭を起こして立ち上がろうとした。
なまえも一緒に寝るの?と寝ぼけ頭で研磨が聞くと、寝るよと返ってくる。もはや彼女の声を聞くだけでも眠たくなってくると研磨は重い体を動かしてベッドへとダイブする。ちゃんと布団被ってねと掛け布団を体の下から引き出されて優しくかけてくれる。
「目覚まし掛けとくよ。朝練ないから7時半でいい?」
「うん…」
「おやすみ、研磨」
「うん…おやすみ…なまえ…」
仕方ない、となまえは直ぐに夢の世界へと落ちた研磨の頭を撫でて開きっぱなしの教科書と問題集を閉じて彼のバッグへと入れた。ほとんど何も出来なかったけど、明日の授業で分からなければまた教えてあげたらいいか、と我ながら彼氏を甘やかしすぎかと思いながら電気を消して先に眠る彼の隣へと滑り込んだ。
すやすやと寝息を立てて眠る研磨の唇にそっと口付けてなまえは彼の指に自分の指を絡ませた。この気持ちも暫くすれば落ち着くと思っていたが、膨らむばかりだった。研磨が好きで好きで堪らない。知れば知るほど彼が好きになって、触れれば触れるほど愛しさが溢れる。
どうすればこの気持ちが抑えられるのだろう、となまえは思いながらこちらを向いて眠っている彼の前髪を耳にかけた。知り合って付き合ってまだ数ヶ月というのに、こんなに好きになった人が今までにいただろうか。否、いない。
繋いでいた指を離して彼の背中に腕を回し、大好きな彼が幸せな夢を見れるように願ってなまえも目を閉じた。
翌朝珍しく目覚ましよりも早く起きた研磨は驚いて目を見開いて体を硬直させた。目の前にはなまえの顔、そして体には彼女の腕、足だって絡みつくように巻き付けて眠っている。朝から盛るな盛るな、と自分の体をコントロールしたいが頭と体は全く逆の反応を示す。だってこんなにも近い距離いるのだ、我慢出来るわけが無いと研磨は眠り姫に口付けをする王子さながらなまえに唇を寄せた。
柔らかいそれは応えてはくれないものの、息苦しさに眉間に皺が寄るのを見て研磨は満足した。
「なまえ」
「ん…」
「こんなことされたら襲うけどいいの?」
学校があるなんて知ったことか。首を伸ばして時計を見るとまだ6時。時間はたっぷりある、と研磨はもう一度なまえに口付けてから彼女の首筋へとキスを落とす。ぺろりと舐めてから強く吸うと赤い印が白い肌に咲く。キスマークを付ける習慣はないし見えるところに付けることなど普段なら絶対にしないのだが如何せん溜まってる、と研磨はむくむくと質量を持つモノを感じながらなまえの肌に噛み付くように口付けていく。
「本当に起きないじゃん。なまえ、おれ今更我慢できないし起きないなら知らないよ」
「んー…?」
「言ったからね」
「けん…ま…」
眠り姫はまだ夢の世界のようだ、と研磨は彼女の寝間着の隙間から手を差し込んで胸の膨らみへと指を伸ばす。大きくもないが小さくもないそれは、とても柔らかく吸い付くように彼の手に心地よい感触を与える。男は誰でも巨乳好きだろとバレー部の中でも話になったが、別にそんなことないと研磨は思った。なまえの胸が小さくても好きだっただろうし、胸の大きさなどさほど問題ではない。
大切なのはその人自身を好きかどうかだ、と胸の頂きにそっと触れると、なまえから甘い吐息が漏れる。
ダメだ、と研磨は思った。なまえを食い尽くしたい気持ちと、今日は学校だからダメだという気持ちが先程までギリギリで共存していたが、彼女の反応を見て後者は尻すぼみに研磨の中から居なくなった。
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