曹操旗揚げ


「上手くいったな。郭嘉」
曹操は参謀の背を叩き笑う。
「当然だ阿萬。あの親爺を見れば、奴が鉄火場でどう動くかわかる」
こいつと賭け麻雀は絶対やらん。曹操も夏候淳も思った。

「そんなことより、淳兄は女一人抱えてよく走れるな」
夏候淳の弟、夏候淵が感心する。
「まぁ女が協力してるからな」
郭嘉はそんな事情も見抜いていた。
「とは言え、淳兄のどこが良いのかは俺にもわからん。女の考えはわからん」

「それより飯だ。これで俺たちはこの町にはいられねぇ。ここのババアには随分世話になった。別れの挨拶でもしていこうぜ」
曹操、意外と律儀な男でもある。

曹操が飯屋に入ると、悪そうな若者がぞろぞろと集まってくる。曹操という男を一言で表すと、成績の良いヤンキーという感じになる。
悪ガキ時代から何十人ものお山の大将共を引き連れて歩くヤンキーだったが、偏差値が高いので叱る大人があまりいなかった。

「ひでぇよ阿萬、俺を阿萬の戦から外すなんて」
熊のような大男が曹操を難じる。この大男の名は典緯。仲間内では悪来と呼ばれている。
「これは俺の戦じゃない、淳兄の戦だ」
なだめる曹操。
「そういう訳だ悪来。阿萬の戦はこれだろ」
郭嘉は官軍募集のチラシをテーブルに置く。

時は漢帝国末期、世の中は乱れまくり、テロが横行していたが、軍人と役人だけは平和ボケしているというカオスな世界。
正規兵がやる気ないので、民兵を雇うという本末転倒な世界。
そんな世界になってしまったことを曹操はこっそりラッキーと思っていたが、口には出さないようにしていた。

「で、淳兄達はどうするんだ?」
「達?良いのか阿萬?」
「ダメに決まってる。女連れ等。が、淳兄がそうしたいなら仕方ない。俺には淳兄の力が必要だ」
一呼吸置いて曹操は続けた。
「一応、お前にも生き延びるチャンスをやる。俺たちは」
少女はそっと夏候淳の手を握る。
「聞くだけ野暮だったな」
「やっぱり女は馬鹿だ。ま、男程じゃないけどな」
郭嘉はにこりともせず言ったものだ。

曹操は旗揚げをした。
夏候淳が仲間になった。
夏候淵が仲間になった。
郭嘉が仲間になった。
典緯が仲間になった。



- 2 -

*前次#


ページ:



ALICE+