桃園の誓い
「この御時世に呑気に花見か」
髭の長い赤ら顔の巨漢が、桃園で昼間から一杯やらかしている巨漢達に言い掛かりを付ける。
髭の巨漢の名は関羽。
中華街で祀られていたりするあの関羽だ。
「あんたもいける口なんだろ。どうだい一杯」
酔っ払いは関羽に酒を勧める。
酔っ払いの名は劉備。
「本当は弟と一緒にやるつもりだったんだ。あいつ、血の気がちょいとばかり多いもんだから義勇兵に参加しちまって。あいつが帰ってくるまでちびちびやってようかと思ってな」
「何時まで?」
「この桃が枯れるまで待ってみるつもりだ」
「この桃が枯れたら?」
「義勇兵に加わるぜ。兄より先に死ぬ馬鹿な弟に三途の川で追い付くようにな」
関羽は劉備の盃を断れなかった。
良い奴だった。
迷惑な酔っ払いという最初のイメージは多少間違っていたかも知れない。劉備は気持ちの良い優しい男だった。
「劉備さん、俺もその義勇兵に加わって良いか?」
関羽は仲間になりたそうに劉備を見ている。
「ああ、いいぜ。張飛の弔い合戦だ」
「ちょっと待てや、兄貴。俺はピンピンしてるぜ。この通り」
ゴリラのような男が顔を出す。
「張飛、お前遅いぞ。俺は3日も前からちびちびやりながら待ってたんだぞ」
「わりぃ。俺にも色々あったんだ」
そして
劉備は旗揚げした。
関羽が仲間になった。
張飛が仲間になった。
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