クズクズクズ


緑間真太郎は俺の事が大好きで仕方ない。 と言う事を自覚しているので、生かさず殺さず大切に食いつぶし続けて五年目になる。

小学校の頃から変わらず熱を孕んだ眼で見てくる男は、久々に俺と一緒にいれて幸せらしい。
どことなく浮き足立っているのを横目で見ながら、人通りの少ない道を延々と歩き続けていた。向こうからポツポツと投げかけられる話題をホームランで打ち返しつつ、家の前で立ち止まる。隣は真太郎の家だ。つまるところ、俺たちは幼馴染なのである。
それがいつから性的な目で見られ始めたか定かではないが、ほんとにキモイね。

「じゃ、久々に話せて楽しかったよ」
「俺もだ。名前は、学校が離れてしまったから…」
「俺程度のアタマじゃそっち行けるわけないじゃん。俺と一緒に居たかったら真太郎が俺に合わせろよ」

字的表現をするならダブリュー多めに笑いながらホームランを返すと、しょんぼりした顔で「そういうわけにもいかないのだよ」とうなだれた。
学校は違うがテスト期間はかぶるので、途中から帰宅が一緒になる確率が高いのだ。
「明日も、」と言いかけて顔をあげた真太郎に満面の笑みで返す。
俺がこの素敵スマイルをすると気に大抵痛い目にあっているせいか、ひどくうろたえた。


「明日は彼女送ってから帰るから、待ってなくていいよ?遅くなるし」


かのじょ、と いやに幼いトーンでつぶやく真太郎の絶望顔に俺はとても心が安らいだ。




「今度お前にも紹介するからな」

立ち尽くす真太郎を無視して扉を閉めた。ドアスコープからみえる姿は立ち尽くしたままピクリともしない。



俺より全てにおいて優れている真太郎が、俺のことが大好きすぎて、俺に彼女が出来たことに絶望していて、俺の行動ひとつひとつに揺さぶられる。なんて気分がいいんだろう。

これだから、俺は真太郎が好きだ。


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