いつかさよなら


『アナタ、アナタ、俺のたったひとつっきりの宝物な人間。俺は馬鹿ではないから知ってるのさ。ずっと一緒にはいられないんだろ?知ってるさ。大丈夫さ。元から言葉だって伝わらないんだ。大好きは届いても、愛してるはかすりもしない。アナタのつがいがあらわれたら、俺を捨てておくれね』

「よしよし」

『テレビで見たのさ。俺は賢いから知ってるんだ。アナタと呼んでお前と返してもらうのは、人間のつがいの作法なんだろ?だから俺は愛しい人間のアナタを、アナタって呼ぶんだ。なあ、アナタ』

「なんだよお前は。ご飯はまだだよ、甘えんなって」

『愛してるよアナタ。だからいつか捨ててね。
アナタのつがいが来たら、きっと俺は悪い奴になってしまうからね。ちゃんとつがいを守って、俺のことを捨ててしまっておくれね。世界で一番素敵なアナタ』

「はいはい、後で遊んでやるから待ってろよ」

『いくらでも待つよ。待つのは嫌いじゃないから。待たなくていいよりも、千倍幸せなことさ』


(シャーシャーガラガラ。「よしよし」シャーシャー。「なんだよお前は。ご飯はまだだよ、甘えんなって」ガラガラシャーシャー。「はいはい、後で遊んでやるから待ってろよ」シャーシャーガラガラ。)

通じるわけがないでしょう。蛇の声なんて。


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