同意済みでギリセーフ
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熱・太陽・陽キャ・宴!! なスカラビアと、推しにいくら貢いだかでマウントを取り合うような、寮長の顔の良さで全力引き上げてなんとかこの世の平均値にしがみついてるイグニハイド(俺はたまに肥溜めって呼んでる)。
たったひとつだけ同じだった授業。通常だったらスカラビア寮生となんてすれ違っただけで勝手にキョドって死に行くはずの俺が、なんの因果がハチャメチャに一目惚れしたので「どーーせ死ぬなら告って死ぬかあ!」と押しまくって何とかなっちゃったんですよ……不思議ですね……。
そんなこんなでジャミル・バイパーくんとお付き合いしていまし、た! た!!
昨日、ふられたけど、ね!!!
「なんでぇぇえ!! 顔か? 性格? 俺のどこが悪かったんだ、やっぱ気持ち悪すぎた!?」
身に覚えがありすぎて反省しか出来ない。俺は……推しに対して本当に気色悪くなってしまうから……!
そもそも最初の交際を願い出たところだって、神様が依怙贔屓の限りを尽くして造形に年単位かけたような奇跡の美少年ジャミルきゅん♡に「はじめまして一目惚れしました付き合って」「誰だ、断る」「いやぁあ!! 付き合ってええ! 好きですマジ惚れしました振るなら殺してからにしてくれ!!」「うわ……」という最悪さだった。床を高速で転がり周り、本気の駄々を捏ねて泣きながら懇願し、「わかった、わかったから……」と苦虫百匹踊り食いしたみたいなビターな表情(造形が神)でなんとか許されただけだったし……。
待って、冷静に考えて? こんな気持ち悪いゴミカスをその場で殺さず放置せず話を聞いてくれたジャミル、慈悲の心オクタヴィネル超えなのでは? おいおい寮を跨いで美徳を得るなんて何度俺を惚れさせたら気が済むんだ……エターナル・ラブ……。
邪魔はしないよ一生一番好きだよ動いてる息してる最高しゅきしゅき♡俺の唯一のきみ愛してゆ♡と、持てる限りの語句を駆使して毎日愛を伝える幸せな日々、はじめはうんざりした表情をしていたジャミルも、そのうち笑ってくれるようになった。俺のきもちが伝わってくれていると思ったのに……!
「一目惚れだろ? ナマエは俺がどういう人間かなんて知らなかっただろ。この顔だけあれば充分じゃないか」と笑ったけど、俺は普段の注意力を推しに全振りしているタイプの人格破綻者なので『理解』出来たんですよね。
これは不安を抱えている瞳……ってね! 嘘……憂いを帯びた表情がただでさえ溢れんばかりの色気を倍増……いや、三倍、四倍!? 怖い、こんなに美しい人が俺とお付き合い♡してくれているんですか……? ゲロ吐くまで泣きじゃくった甲斐があったわ。
俺の好き♡を不安に感じてくれるくらい、俺に興味を持ってくれたんだな……という感激で天に昇りそうになった。地上に天使がいてくれて助かった。マイエンジェルジャミル……。
「一目見ただけでなにもかも全部好きになっただけだよ♡ 好き好き♡神の作った最高傑作♡世界一美しい♡ 凄い、どの角度から見てもきれえ〜〜〜♡♡ 可愛くて格好よくて綺麗で、その上中身も努力家で真面目でそれなのにジョークもわかるんですか!? どうしちゃったの神〜盛りすぎ〜〜! ありがとうございます♡♡」
深々と頭を下げて神に祈ると頭の上から「ははっ」と軽やかかつ美しい笑い声が聞こえた「しょうがないやつ」細くて長い指が俺の髪を優しく掻き回す。死ぬなら今!!
「あん時死んどきゃよかった〜〜!!」
全力で机を殴り付けて、その痛みで「ブヒィン!」と泣いた。うっうっうっ……どうして……なにゆえ……「お前とはもう終わりだ」なんて……そんな不安げな顔で言ったんだ……。俺が頼りないせいで推しが悲しむこんな世界壊しちゃいたい……!!
でも、でも俺、諦めきれねえよ!!
という訳で、マイラブ♡ジャミルきゅん♡に泣き縋って大地を転がりながら吐瀉してでも粘着しよ〜〜と寮から出て探しに行ったら、なんかスカラビアがやばい事になってて笑っちゃった。
ジャミルのことしか考えてなかったから知らんかった。向こうでオバブロしてるの俺の最愛のかれぴ[V:9825]じゃない?? 元気な「どっかーーーん!」の声がここまで聞こえてくる。オバブロしてまでふつくしいとは、神は彼に何物与えたら気が済むの〜〜〜!?はあ……好き……。
うっとり見蕩れていると、ジャミルがぐりんと振り返って俺を見た。いつもの影のある笑みじゃなくて、子供のように晴れやかでいたいけな笑みだ。どんな君も愛おしいなあ。
「ナマエ! ナマエ! 来たな! ははっ、どうだ! 1番だ!! 俺は、これで自由だ! 全部俺のものだ! 全部! 」
「きゃーーー!! ファンサあざまっっす! 一生推す〜〜!! 1番大好き! 世界一綺麗だよ!! 何でもするので捨てないで!!!」
「ははっ、あははは!! 全部、ぜんぶぜんぶぜんぶ、どうにでもなればいい!!!」
ドッカーーン
空をぶっ飛ばされながら確信した。あの目は絶対俺のこと大好き。俺を巻き込まないために別れ話をしたんだ、それってめちゃくちゃ『愛』なんじゃないですか!? しゅき〜♡♡胸がキュンキュンするんじゃ〜〜♡♡♡
そういえばカリム? とかいう、仕事の上司? ちょっと興味ないから忘れたけど、そいつに彼ピ♡として挨拶に行こうかと話した時に「カリムと会ったら、鍵のついた地下の小屋を作ってお前を一生閉じ込める」と言っていたけど、あの時の目と同じだな……あれは本気だったんだな。全く、愛され過ぎててHappinessだゼ……ごめん。リア充で……。
「永遠に俺の一番星〜〜!!愛してる〜〜〜!!」
叫びながら落ちてると、遠くでジャミルの嬉しそうな笑い声が聞こえた。気のせいではない。俺は愛でジャミルの声だけ500倍の集音機能がついた。俺たちの人生はラブストーリーだからバッドエンドは有り得ない、俺はジャミルを愛していて、ジャミルは俺を愛しているから! 狂ったオタクの参戦で、このイベントは終了だ。オバブロの治し方わからんけど、なんとかなるだろ。俺のキスとかで。
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