長谷部のはなし


この審神者は2人目の審神者です。

ブラック本丸から長谷部を救い出した審神者です。

黒か白かを決めるのは人間でしたが、へし切長谷部は刀であり神でした。

悪と決めつけられた1人目の主は、長谷部にとってみたら良き主でした。

確かに戦下手で何本もの刀を折る主でした。

確かに間が抜けていて癇癪持ちの、わがままな主でした。

それでも長谷部にとっては良き主だったのです。

優しくはしてくれなくても、無理を強いてきても、最初から最後まで、ずっと長谷部を側に置いてくれた、良き主だったのです。

いつまでも子供のような人でした。酷くされているのでしょう、それでも、誰も主を恨んだりなんてしていませんでした。



政府に呼び出されたと行って本丸を出た主は、帰っては来ませんでした。

来たのは見知らぬ女でした。

新しい審神者になったのだと。

その女から香るにおいに、長谷部は心臓を握り潰されるような痛みと衝撃を感じました。

ぷぅんと、濃く、主のにおいがしたのです。魂の、死のにおいでした。

女が渡した空っぽの短刀からは、そのにおいがしませんでした。

薬研藤四郎は薬研藤四郎のまま、その逸話通りに主を傷つけることなく消されたのでしょう。

では主はなにでどうやって腹を斬ったというのでしょうか。だまされるとおもっているのでしょうか。












長谷部は忠義者です。
ただひたすらに二番目の主に尽くしました。
ただひたすらに機会を待ちました。
ただひたすらに、胸の内をひた隠しにしました。
無防備な背中に嗤い、
刀を振り上げ、

主、長谷部が参ります。今すぐに。




善良な審神者を殺した狂った長谷部のはなし


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