いち
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審神者といえども人間だ。強く美しい刀剣男士に傅かれて、何かを勘違いしてしまう者もいるのは理解ができる。だからと言って共感はできないが。
己の霊力を分け与えて生まれたものを、俺は『子』のようにしか思えない。己の子を辱め痛めつける所業など許されないことだ。そんなことをする奴は俺の審神者パンチが火を噴くぜ。瓦割りなら調子がいい時で30枚いける。喧嘩はしたことないがたぶん威嚇には使えるだろう。
ブラック本丸に対抗してホワイト本丸を自称している俺のもとに、政府の役人から『たのみごと』が来たのは突然だった。
曰く、ブラック本丸を解体したはいいがレア刀を溶かすのは勿体ない。どうにかならないか。と、
レア刀ではない刀剣達はどうなってしまったのだろうか。それを考え、肺の中に石が詰まったような気持ちになる。
資料には三日月宗近の画像と彼の今までの経緯がぎっしりと書かれている。文字をみただけでもうんざりしてしまうようなコレを、自分と同じ審神者がしでかしたとは思いたくない。が、事実だ。
どうにかならないかの問いに、どうにもならないと返せば、三日月は溶かされてしまうのだろう。それはあんまりだ。こうやって情に流されやすい性質だとわかっているから、政府の役人は俺にこの話を持ち掛けたに違いない。いいように使われている。
近侍の同田貫が投げて寄越した手拭いで顔を拭いて「これたぶん雑巾だ…」と泣いた。若干臭い。反省の色のない「わりぃわりぃ」という声を聞きながら、俺が泣く理由をほかに作ってくれた同田貫なりの気遣いに感謝し、同時に資料にあったブラック本丸での同田貫の情報を思い出して泣いた。彼の本丸では何本もの同田貫が戯れに利き手を折られ、足の腱を切られて肉体関係を強要されていたらしい。確かにわかりにくいところもあるが、この子は良い子なのだ。それなのに。
「うぇぇえええええ」
「ウッセェな、泣き虫野郎が」
今度はちゃんとした手拭いを渡されて、それで鼻までかむ。「てめえ!」という怒号は聞こえないことにした。
三日月宗近はうちで引き取ろう。きっとなんとかなる。たぶん。
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