残念全て俺のせい


こんばんは、アイアム審神者マン。

万屋を小判でビンタして秋の景趣を買ったので、万年夏だった我が本丸に実りの秋がやってきます。

…というわけで、夏の終わりに花火しようぜ!と鶴丸が発案してくれたので、花火大会が開催されたわけだ。普段たいして悪い事してないのに過剰反撃喰らうもんな…こういう時ぐらい俺の庇護下で楽しんでくれな…。「ぱらしゅうと花火!ぱらしゅうと!」と無邪気にはしゃぐ鶴丸の背をみて、俺はそっと涙をぬぐった。





でもまあ、こうなるわな。


「やめろ宗三!やめ……やめろ!!ネズミ花火を江雪に放つな!お前の兄が何をしたって言うんだ!

バカおま…お前!ああ―――逃げろ!!ネズミ花火を踏み潰したぞ!和睦をかなぐり捨ててる!逃げろ!!大人しく線香花火しているやつにいらんちょっかいかけるから!あと鶴丸は蛇花火、もうやめろ!何が楽しいんだそれ!!

やめなさい江雪!!お前の手のかかる方の弟をナイアガラの末席に吊るすな!!流れで火をつけちまうだろ!!

いいか、バケツの水は随時足せよー池に突っ込むんじゃないぞ!たぶん鯉が死ぬ!

鶴丸はパラシュート花火捜索で短刀に勝てないからって泣くんじゃない!あんなのただのぬいぐるみだろうが!

まんば――!!!布!!布!引火してウワアアアア綺麗…山姥切が花火みたい…。まんばちゃんきれえ…。

炎にトラウマ組が貧血起こしてるから部屋に運べ!お前も燃えたんだろ何指さして爆笑してんだ宗三ァ!!あと誰かまんばを池から引っ張りあげてくれ!鶴丸はもうパラシュート花火は諦めろ!!中身だけやるから!あとでお前のためにテディベア買ってやるから泣くんじゃない男の子でしょ!!?」



死ぬほど疲れた。


もう二度とやらない。一生秋でいい。




かつて冬の景趣だった頃に、鶴丸の号令ではじめた「雪合戦しようぜ!」の流れでも最後には今と同じような感想をもったことを、今更ながらに思い出した。


だいたい野郎しかいない環境でイベントをすればこうなるなんて、わかり切っていた筈だった。宗三が大人しければ三割くらいの負担は軽減されただろうけど、ほかの奴もまあまあ暴れてたからな…。

次郎の酒に引火して太郎が次郎ごと池にぶん投げたり…それのせいで池の水が尋常ならざる氾濫を起こして、逃げ遅れた石切丸が…ああ、もう思い出すのはやめておこう。石切丸なんであんなにキレやすいの?もっと心にゆとりをもと?ねっ?


長い溜息をひとつ吐いて、すっかり静かになった最後の夏の夜に浸る。

そういえば昨日、兄に送った高級果物詰め合わせは届いただろうか…現世へ通信できる携帯は、時間の調整が可能だ。2200年代ってすごいんだぜ。

なんとなく兄が帰っていそうな時間に合わせて、電話をかける。向こうからこちらには連絡が出来ないので、久しぶりの会話だ。元気にやっているだろうか。


『●●、お前ほんと成長しないのな』

「えっ何で突然きれられてんの。こわ…引く…」

術の関係で名前が18禁対応のごとくピー音が入っているが、それ以上に突然キレられたことのほうが気になる。やだ怖い。何か嫌なことがあったのかな。

『お前、一般家庭にドリアンダンボール1箱送ってくるってどういう了見だ』

「食べたいって言ってたじゃん…」

『ああ言ったな。いつか食べてみたいなって言ったな。12個セットで食いたいとは言っていない!!!どうしろって言うんだこの馬鹿!!』

「バカって言った方がバカなんです!!?!!なんだよせっかく今までありがとうの意味を込めたのに!!弟の心知らず!無慈悲!高給取り!嫁さん美人!!」

『褒めてくれてありがとよ!!!ていうか、お前…まて、まさか…』

「ハア!?!なんですか!??!!」



『お前…。●●、お前がガキの頃「なんとなく構造が気になった」と言ってテレビの画面を引っぺがして破壊したことも、俺は許した』

あ、それ鶯丸がやった。

『お前が「いけると思った」と言って雑草をサラダ風にして俺に食わせた時も、俺は許した』

あ、それ安定がやった。

『お前が「夏休みの研究にするつもりだった」と言って火炎瓶で裏の山を半焼させた時も、母さんに往復ビンタされてるお前を庇って、俺は許した』

あ、それ陸奥守がやった。

『お前が「フランベをしてみたかった」と言って台所で火柱を立てて呆然としていた時も、俺は許した』

あ、それ歌仙がやった。

『お前が俺の事を悪く言われて大暴れして停学を喰らった時、俺は怒ったが本当はお前の気持ちがとてもうれしかった』

あ、それこの前一期が…。

『だからお前が俺のパソコンでエロ動画をダウンロードしてウイルスに感染しても3回見逃した』

あ、はい。先日燭台切が似たようなことを…。

『悪戯ばかりする癖に、お前が掘った落とし穴ともいえないへこみに躓いたとき、半泣きで謝ってきたな。悪ガキの癖に憎めないやつなんだ、お前は』

あ…鶴丸と同じことを…。

『小5の夏に俺にネズミ花火をけしかけてきたときはマジでぶっころしてやろうかと思ったけど、結局許したよ』

それ今日、宗三がやりました。はい。

『どんなに手のかかるクソガキでも、お前は俺にとって見たら可愛い弟だから仕方ないんだ。今までも、一発殴ってチャラにしてきた』

江雪と同じこと言ってる…。


『だが自殺だけは決して許さんぞ!!!!!なにがあった!!言え!!!ありがとうの気持ちってなんだ!!!これからも迷惑かけていいんだよ今からそっちへ行く!!政府のどの機関に連絡すればいいんだ担当者誰だ!!』


「自殺をほのめかしてるわけじゃないから!!!勘違いです100年生きますイエエエエイ!!!!ぴーすぴーすらめえ!!!」






現実時間3時間の説得でなんとか誤解をとき、そのまま倒れた。

両親と兄貴に各三千万円くらい包まなきゃいけないという使命感がすごい…でもたぶんまた自殺前の身辺整理と誤解される…兄貴にとっての俺は、江雪にとっての宗三だ……。師匠に言われた時よりショックがすごい…。

刀剣男士がやらかしたことの全てがかつての俺のやらかしだ…。

可笑しいと思っていたんだ…。

他所の本丸では意味深なことを囁く影キャラなにっかり青江が、うちの本丸でだけ…というか俺にだけ、妙に心配性で…。

俺がでかける時には必ず「大丈夫かい?お金とハンカチとティッシュは持った?人に迷惑をかけないようにね。充電器は予備ふくめて二台いれている?人に迷惑をかけちゃだめだよ。それと思いついたことをその場で言うのはやめようね、人に迷惑をかけないように」とものすごく念を押してくることを、薄々おかしいとは思っていた。


「入るよ、主。そろそろ寝た方がいい」

「ぁぉぇ…」

「うわあ、か細い声。どうしたんだい、疲れすぎて眠れない?」

「俺の初期刀で…お前には迷惑をかけたなぁ…」

「主、死のうなんて考えちゃいけない。

確かに君が見習いだった頃、僕を本体に戻して現世のホラースポット巡りをしたときにはとても困惑したし、そのあと警察に追いかけられて逃げ惑った時はどうしようかと思ったけど、それでも僕は君の刀で居る事を後悔していないよ」

「その節は誠に申し訳ありませんでした俺は死にません寿命いっぱい生きますぴーすぴすーらめえ!!」


ああ――――今日からすごい刀剣男士、特に宗三に優しくなれそう―――。

もう誰も責められない!はい!全部俺の責任ですありがとうございました!!!


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