*3年になる前のはなし。
JBF.cc60にて無料配布した番外編になります。
ある日、五条は思った。小さな子供になりたい――と。
「俺、コナンになりたい」
「……は?」
外は真っ白な雪景色、温かみが消えた肌に痛みを感じる冷たさ。任務を終えた問題児二人は、寒さから逃れる為にコンビニへ寄り、雪の影響で遅れている補助監督の迎えを待っていた。
今日は月曜日。毎週二人は交互にジャンプを買っていたのだが、その日に限って寄ったコンビニに置いていなかった。時間潰しの為、仕方なしに五条は別の少年漫画を手に取ってパラパラと立ち読みし始める。今まで読んだ事は無いが、とある名推理漫画のあらすじを読んで物語の世界へ入り込んだ末、人差し指を立てて閃いたと言わんばかりに相方へ語りかけた。
「たったひとつの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人って最高じゃん」
五条悟が興味を持つ時、何かしらの理由がある。例えそれがしょうもない理由だったとしても――。夏油は何かを企む彼に興味のない眼差しを向けながら問いかけた。
「ちなみに何の真実を見抜きたいのか言ってご覧」
「名前のことだよ」
「名前? 何だ、喧嘩でもしたのかい」
「……アッチが勝手に怒ってんだよ、最近構ってくんねーんだもん」
「また悟が何かしたんだろう。あの名前が悟に構わないなんて怒らせたに違いない」
「うっせ」
五条が啖呵を切るタイミングで夏油の携帯が振動する。メールを開くと、補助監督からあと十分程度で迎えに来るという連絡だった。ホットコーヒーとホットココアの缶を購入し外に出ると、夏油は真冬の冷たさに痛む鼻をマフラーに埋めた。ホットココアの蓋を開けて一口飲んだ五条は空に息を吐くと、蒸気のように白く空中に浮かび上がる。
「それで、何やったんだい」
「別にぃ? ヤる回数が多いから控えて欲しいって言われただけ。別に会う回数も少ないんだから良くね?」
「悟の事だし会うたびにヤってたんだろう」
「そーだけど?」
「……あのね、悟。女の子からすれば二人でゆっくりしたい時もあるんだよ。会うたびに身体の関係ばかり求められたら身体目的の関係だと思うだろ。大体キミは特に付き合う前から名前にちょっかいをだしていたし少しは――ちょっと、聞いているのかい」
両耳を塞いで「あーあー」と言葉にならない声を発する五条は、夏油の説教じみた言葉を途中から聞いていない。……名前との関係なんて、自分が一番知っている。
「……だとしてももう付き合ってんだし、身体目的じゃねー事くらい分かンだろ。なのに謝っても全然連絡返さねーし、帰っても会ってくんねーし。何にそんな怒ってんのか謎すぎて、さーっぱり」
「どうすれば名前が機嫌を良くしてくれるか知りたいんだ。ま、考えるようになった点に関しては悟も彼氏らしくなったね」
名前と付き合ってから、五条悟の脳内には今まで無かった恋人に対する行動を考える思考が生まれた。身体だけではなく、一緒に居て居心地の良い関係というのは、互いに思いやる気持ちがあってこそ育まれるもの。自分勝手な行動の末、彼女を失うかもしれない一件があってから五条悟の中に変化が訪れたのだ。
しかしその結果、一生離さないと掲げる気持ちが故に彼女という沼に入ってしまった彼の愛情は、名前が思っているよりも重みのある想いとなってしまった。そんな彼の言動に対し、彼女には気に食わない何かがあるみたいだ。だが彼女は頑固で中々思った事を口にする性分ではない。五条相手だと尚更である。今回の件は月日が経てば解決する問題ではあるだろうが――……彼の彼女へ対する欲求は、我慢出来ないほど溜まっていた。
そこで思いついたのが、子供に戻る。自分が五条悟ではなく、五条悟の母の祖父の兄の娘のいとこの叔父の孫あたりになれば、気づく事は無いだろう。子供相手であれば彼女も接しやすく、胸の内を打ち明けてくれるはず。
「ってことで、出して」
「は?」
「傑がこの前手に入れた呪霊だよ。同じような術式持ってただろ」
「あぁ」
どうせ小さくなってもアイツは気づかないだろう、バカだから。と悪い顔をする五条に対し、夏油はまずそういう態度を直す所から始めなよと言いたい気持ちを飲み込み、ため息に変えて吐き出す。
「いいけど、バレたら悟が勝手にドジって術式かかったって言うからね。名前に嫌われたく無いし」
「ああ?自己評価だけ上げんなよ。ま、いいけど」
――こうして、五条悟の憂鬱を脱却する試みが行われた。
同日、日中。名字名前は、七海建人と一緒に都心の任務へ出向いていた。都心の廃墟呪霊祓除ツアーとなった任務を終わらせ高専へ戻って来た二人は、日の暮れた廊下を歩く。
「あー……つっかれた……」
「呪霊を祓っている貴方、とても楽しそうでしたけど」
「非術師の対応の方だよ。呪霊に絡まれた子供助けたのに親から怒られるし子供には泣かれるし、本当最悪」
「それは貴方の言葉使いのせいでしょう。上下関係が無いとはいえ、年上の方にタメ語で話すのは如何なものかと思いますが」
「わー……七海が夏油みたいな事言ってる……」
とある廃墟で見つけた子供に出会した名前は、助けたは良いものの母親に対し「危ない所には行かないように言ってよね」と上から目線で指摘の挙句、子供にも「死にたい目に遭いたく無いなら、こういう所行かないでよ」と呆れ口調であった。彼女の対応は間違えてはいないが、あまりにも気配りがない。確かに、自身も危険な目に遭いながら人助けをしたのだから強気な口調になるのも仕方ないが、その配慮までが術師の役目でもある。怒る大人と泣く子供を宥めるのは七海の役割で、反省していない彼女に対して溜め息を吐く。
「七海はまだ一年なのに大人みたいだよね」
「本を読んでいれば自然に身につくものですよ。名字さんはビジネスマナーの本を一冊読むだけでも対応が変わると思いますが」
「えー私まだ高校生なんだけど?」
「学生だからとかそういう話ではなく、礼儀はマナーですから」
「ふうん……そう言うならでも読んでみよっかな。ねっ七海、良かったら本貸してよ」
「私の持ってる本でよろしければ、どうぞ」
「ありがと。じゃあ夜部屋行っていい? 時間あったら読ませてよ」
「……部屋に?」
七海の足が止まる。
彼女が何を考えているのか理解できない――いや、何も考えていないのだろう。
「アドバイス聞きながら読みたいし。だめ?」
「駄目というか……五条さんは?」
彼氏でも無い男の部屋に、恋人がいる女性を入れるなど何かあっては済まされない。七海自身、何かをするつもりは無いが、彼女の恋人はやっかいすぎるのである。危機感を考えない辺り、信頼されているのかもしれないが、七海本人だけの判断で簡単に承諾して良い問題ではない。
「え、五条? なんで? てか今日居るのかな……」
「連絡、取り合っているんではないのですか」
「五条が最近……その、しつこくて」
「貴方達はいつもそうでしょう」
「いや、違くて。その……とにかく、ちょっと距離置いてるの!」
危機感を持たずとも、異性の七海に対し名前は少なからず恥じらいを持っている。後輩でもある彼に、五条から毎度エッチを求められていて……なんて話せるはずがない。
話を逸らした彼女は、いつものルーティンで寮の間に存在する共有スペースへ入ると、そこにはソファに座っている夏油と――……小さな子供の姿があった。
「やあ、二人ともお疲れ」
「お疲れ様です」
夏油と挨拶を交わす後輩だが、名前の頭の中はそれどころでは無かった。何故ならば、夏油の隣に小さな子供が、見るからに自身の恋人にそっくりだったのだから。
「……っえ、ご、五条……?」
まさか恋人が、呪いにかかった……?いつもなら自分が被呪してしまい、呪いにかかる奴なんて馬鹿だろと罵ってくるその本人が、被呪するなんて。彼が呪いを受けた所を見た事が無かった名前は、呆気に取られてしまっていた。
「あぁこの子、悟の親戚の子でね」
「親戚……?」
状況を理解出来ない名前は、七海の後ろに隠れて子供をじっと見つめる。日中子供を泣かせてしまった事もあり、子供とあまり関わりたくなかった。
「なんでも悟の、母親の祖父の兄の娘のいとこの叔父の孫らしいよ」
「へえ……まあ御三家って親戚多そうだもんね」
彼の言葉に対し素直に納得する名前に対し、後輩である七海は眉の間に皺を寄せていた。それって結局……五条さんの事では? と疑問に思う彼の事など知らず、青空を閉じ込めたような瞳は二人をじっと見つめる。
「おねーちゃんが、悟おにーちゃんの彼女?」
「そ……うだけど、」
「なんだい名前、七海の後ろに隠れてないで出てきなよ」
「いやだって……私、子供に好かれないし」
「ええー?おれ、おねーちゃん好きだよ?」
ん!と手を広げて、彼女に満面の笑みを浮かべる子供に対し、名前の胸は既に撃ち抜かれていた。
「か、かかかかわいい〜! なんなの、五条のいつもの憎たらしさとか皆無な子供じゃん!」
手を広げた子供をすっぽり胸の中に閉じ込めて抱きしめる名前の気持ちは、先程までのクレームなど吹き飛ばす嬉しさに満ちていた。
「でも五条さんの六眼って一つしか……っ?!」
「? どしたの七海?」
「……いえ」
名前の気づかぬ所で要らぬ情報を吐こうとする七海の足を思い切り踏んで、何も言うなと視線を向ける子供の瞳に、これ以上は関わるまいと七海は溜息を吐いた。
「そういえば肝心の五条は?」
「あぁ悟は……別の任務に行ったよ」
「……そっか」
「それで私も明日朝から任務でね、名前は明日休みだったよね? 良かったら、さと――この子のこと、面倒見てくれないかな」
「私が?」
「うん、懐いているみたいだしさ」
「おっけ、いいよ」
「じゃあよろしく」
早々に談話室から出ていく夏油の態度は、子供の事を気づかない彼女も疑問に感じていたが、明日も早く疲れているのだろうと結論を出す。が、一方で七海は夏油と同じく、一刻も早くこの場から立ち去りたかった。
「あ、そういえば七海の部屋いく事にしてたんだ」
なのに、名前の言葉で子供の鋭い目が七海に向けられる。
――あの人が知ればきっと私に難癖をつけてくるから嫌だったのに。七海は背中に冷や汗を流して、額に手を置く。
「少し……体調が悪いので、また後日。本はすぐ返さなくても良いので、明日にでも」
貴方達の言い合いに巻き込まれると頭が痛いだけです。とは言えず、適当に嘘を吐く。
「えっ体調悪いの? 大丈夫? 何か作って」
「いえ、寝てれば治りますので。では」
「あっ、ちょっと!」
夏油と同じく逃げ足で談話室から出ていく七海は、願う。二人の問題に私を巻き込まないでほしい。二人は付き合ってから何度か喧嘩をしていた事はあった。その度にモヤモヤを吐き出す相談相手となったり、どっちの味方だとか下らない事を聞かされたのだ。両者とも想い合ってぶつかっているのに、なんで喧嘩になるんだ。いい加減二人で解決してください。
そんな苦労も知らず、名前は小さくなった五条を抱きしめたまま、去っていく七海の後ろ姿が見えなくなるまで止まっていた。
「本当に大丈夫かな……」
「おれ、さむい。おねーちゃんの部屋であったまりたい」
「あ、ごめん。そうだよね、五条居ないし……私の部屋で寝よっか」
「うん! ね、抱っこして」
「ええ? もう、しょうがないな」
小さくなったとはいえ、身体のサイズは低学年の小学生並だ。赤子よりも重い身体に若干渋る名前だが、今まで小さな子供から甘えられた事が無く、かつ喧嘩中とは言え恋人である彼とそっくりな小さな子供にベタ惚れ状態で、なんでも許してしまった。
――小さくなった五条が、彼女の胸に顔を埋めて幸せを噛み締めているなど知らずに。
部屋に着き、寒い空気を温めようとエアコンのスイッチを入れた名前は、下着と寝巻きを持って部屋から出ていく。部屋で待っていた五条はダラダラと身体をベッドで横たえる。
ああ〜アイツの風呂、無駄になげーんだよな。
普段、彼女が日中の任務から帰ってくる時は窓が開いているので、そこから勝手に入って待っている事が多々ある。彼女のベッドは狭いけれど落ち着く匂いがして、いつの間にか寝ている事が多い。今回もいつの間にか寝てしまった五条は、騒音とともに目を覚ました。
「ん、名前……?」
「あ、ごめん起こした?」
五条は眠りまなこを擦って目を開けると、彼女がドライヤー片手に髪を乾かしていた。なるべく音を出さないようにと弱モードで乾かしていた髪の毛はまだ少し湿っていて、ベッドから出た五条は彼女の髪の毛を手で梳いながら首元に抱きつく。
「ンなのいーから、早くシよ」
「へ?」
そのまま彼女のシャツの中に手を忍ばせようとするが、いつもよりもうまくいかない。手を伸ばしてお風呂上がりで少し湿った温かい肌に触れ、いつもと同じようにブラジャーのホックを外せばガッと肩を掴まれ、引き離された。
「な、何してっ」
「ンだよ、何って」
「やっぱり貴方……五条なの?」
焦る彼女と目が合ったその瞬間、五条悟の寝ぼけていた思考が鮮明になる。あ、やべ。今子供になってるんだっけ。自分からバラすような行動をとってしまった事で、なんと誤魔化そうか頭の中を駆け巡る。この機会を逃せば、彼女の胸の内を聞く事も無いのかもしれない。ならば、このまま突き通すしかない。
「おねーちゃん、もしかしておれが悟お兄ちゃんだと思ってるの? お兄ちゃんが子供になれるわけないじゃん」
「もしかしたら呪いにかかったとかあるかもしれないし……それに、口調! さっきと違うじゃん! ブラの外し方もそっくり!」
チッ、名前にしては筋の通った推理をしている。
心の中で舌打ちをする五条は焦りながらも、自身の持つ最大限の美を使った。
「おれ、悟お兄ちゃんみたいになりたくて、真似してるの。だからおれもおねーちゃんの事だぁい好きで、真似しちゃった♡」
「えっ……ブラの外し方も……?」
「う、うん」
「何教えてるのアイツ……」
ブラジャーの外し方を子供に教える自分の彼氏に対し若干引いてしまっている名前だが、小さくなった彼の美しさと可愛さ故の訴えを、素直に納得してしまった。
「とにかく。五条が好きだったとしても、そういうのは教わっちゃだめ。私からも五条に言っとくから」
「はぁい」
何とか誤魔化し、疑いもなく納得した名前はブラのホックを再度止めるため、子供に対し目を手で隠すように伝えて止め直すが、指の隙間から彼女の膨よかに育った胸を見つめていた五条に反省の色はない。
「よし、もう大丈夫だよ。寝よっか」
「一緒に寝てくれるの?」
「もちろん」
「でもぉ、悟お兄ちゃんに見つかったら怒られるかも」
「子供と一緒に寝ただけで? 大丈夫大丈夫、五条はそんな心狭く無いよ。ほら」
はああ??子供でも一緒に寝るのはダメに決まってんだろ、心狭いとか意味わかんねー。つーかもしかして前も子供と寝たのかコイツ。
小さくなった五条は、久しぶりに一緒に眠れる嬉しさと、子供ならば誰でも一緒に寝るのかという疑惑で頭がいっぱいになっていた。以前名前は一度だけ子供から求愛された事がある。そのせいもあるのだろう。
大人だろうが子供だろうが、お前に恋愛感情持ってる奴は全員ダメだっつうの。いや、恋愛感情なくてもダメ!
だが名前は布団をめくってふかふかなシーツへ身体を横たわせ、子供と向き合うように寝転んだ。
「キミは私の事、嫌いじゃないんだね」
「なんで?」
「知らない? 私のおうち、五条家に大変な事しちゃったの」
「別に……名前はそんな事しないでしょ」
「うん。ふふ、本当に五条みたいな事言うね」
ありがと、とオレンジの蛍光灯の灯りより鮮やかな彼女の撫子色の瞳が彼を見つめる。
ああ、お前はそういう所がまだ気になるのか。五条家の人間が高専を出入りする事は月日が経つにつれて減っていき、名前の事を悪くいう人は減っていっている。しかしそんな中でも、彼女の中で悪い事をしたという歴史は残っていた。
「……名前は、悟お兄ちゃんのどういうとこ、好きなの」
「かっこいいじゃん。それに、私に構ってくれるの結構好きなの。冷たい態度もするけど、あのうるさいテンションで話しかけてくれるのとっても楽しいし、戦ってる姿は特にキラキラしてて……大好き」
硝子は鬱陶しいって言うけどね。と笑いながらに話す彼女の胸の内を聞けたのが嬉しくて、小さな手で彼女の脇の服をぎゅっと握る。しかしそんな事も知らず、名前は子供の髪を優しく撫でつつ問いかけた。
「ね、五条に会ったんでしょ……怒ってた?」
「怒ってない、むしろ名前が怒ってるって困ってる」
「ええ、そうなの? 別に怒っては無いんだけどね、その……」
「何、教えてよ」
「五条が構ってくれるの、すごい嬉しいんだけどさ……この前見た雑誌でスキンシップが多いと別れやすいって見ちゃったの」
「はあ?」
子供な彼らしからぬ素のリアクションが出てしまったが、気にせず彼女は話を続ける。女性情報誌には付き合って数ヶ月経つと、新鮮さが無くなり、かつ相手の色んな部分が見えてきて、マンネリや合わないと感じる時期が訪れると書いてあったのだ。
「確かに何だか慣れてきた部分はあるなって私も思うの。でも、好きになる気持ちがどんどん増していく一方で……五条に嫌われたくなくて。だから付き合い方に変化があれば、マンネリにならないかなって……」
確かに付き合って半年経つが、五条はマンネリや気持ちが冷める事はなかった。寧ろ――。
「俺だって、そうじゃねーよ」
呟く言葉とともに、身体を起こして彼女の身体を仰向けにする。その上に乗っかり、顔の真横に手をついて顔を近づかせると、名前は子供の肩を掴んで止めた。
「ちょ、ちょちょっと! 何やって」
「何ってキス」
「待って、子供でも五条以外とキスするのはヤだっ」
「おまっ、だからそういうの……〜っクソッ‼」
「まっ、やだ、んっ」
無理矢理彼女の手を推し抜けて勢いよく口付けた五条の身体は、光を放つ。暴れた拍子に照明のリモコンが付き部屋中が眩しくなり、薄めた目を閉じた名前の身体には、みるみる内に重みが増して耐えられなくなり、目を開けた。
「お、もいっ! ……って、え……?」
「……解けた」
「や、やっぱりあの子供! 嘘つかないでよ!」
「うるせー! お前が素直に話さねーからだろっ」
「なっ! ていうかちょっと待って……さ、さささっきの話っ忘れて!」
焦る彼女は顔を両手で隠す。彼女の胸の内を聞いた五条は、その手を上から覆って彼女の耳元で囁く。
「あぁ、俺のことが大好きだって話?」
「恥ずかしいから言わないでっ、しかも耳元やだ」
肩を押して距離を取ろうとする名前の顔を見ると、真っ赤になって潤いに満ちた瞳で五条を見ていた。しかし、その姿は今の彼にとって欲望を掻き立てる一つでしかない。
「ンなの逆効果だわ。俺がどれだけ悩んだか思いしればか。こっちだってな、お前が思っている以上にお前の事好きなんだっつうの! 冷めるわけねーだろばぁか!」
「なっ何もぉ、ばかばか言うなっ!」
「好き、俺も名前の事が大好きだよ」
「うう、それも反則……」
恥ずかしそうにする彼女の服の間からすっと手を差し伸ばして柔らかな肌に触れると、驚いた表情で彼を見つめる。
「触れる度に冷める所かコッチはまだまだ足りなくてしょうがねーんだわ。なあ、もっと俺で気持ち良くなってる姿、俺に見せてよ」
「ん……私も、シたい」
お前は俺で一生いっぱいいっぱいになっててよ。そんな願いを胸に秘め、久しぶりに触れ合う二人の熱い夜はまだまだ始まったばかりだ。