冬名山の際は共にキャンプが行けなかったので本日はちゃんとお供します。ということで、探偵団with私でやってきました。兼定は部活。薬研は哀ちゃんとお留守番。博士の車でいざゆかん!っとした所で問題が発生した。

ここからは独断と偏見による回想をお楽しみください。

その話をしに歩美ちゃんがやってきた、まではいい。
話を聞いた場所ポアロのカウンター。いつものように歩美ちゃんの恋のお悩み相談をきゃっきゃと聞いていたら。

「キャンプ行くの」
『そうなの』
「お姉さんも一緒に行こう」
『いくぅ』

って流れになり、歩美ちゃんに誘われちゃったな。と余韻に浸っていたらひょっこりと隣から乱入してきた安室さん。小学生相手でもその物腰と紳士差は失われない。そこは流石だと認めざる終えない。

「あ、僕もご一緒していいですか?」
「いいよ。お兄さんとお姉さんは一緒じゃないと駄目だもんね」

歩美ちゃんの御幣が元に、はい。このカフェオレ、じゃなくて安室透さんもwithに入りよった。おかげで哀ちゃんはお留守番だよ。ごめん哀ちゃん!
彼が車を乗り回すばかりに、コナンくんを膝の上に乗せてその温もりと柔らかさを堪能できると思ったのに、安室さんの「じゃあなまえさんは僕の車でお送りします」と余計なことをぬかしよってからに、私は乾いたお膝をぽんぽん叩きながら虚空を眺めた。

あーー森綺麗。絶景かな、絶景かな。

キャンプ場に到着するとテントを張ったり焚火ようの枝、夕飯の支度などやることは多い。テントは女の子用と男の子用にふたつ作成し、歩美ちゃんは嬉しそうにはしゃいでおりました。かわいい。私と安室さんは夕飯の支度をするために材料などを見て献立をたてる。

「川も近いですし釣って魚を焼くのもいいですね」
『定番のカレーもいいけど新鮮なお魚さんもいいですね』
「(魚に“お”つけるとかかわいい)そうですね」

何で上機嫌なのか考えたくないので放置するが、博士の持ってきた食材をもとに調理を始めた。ポアロではよく隣に並んで調理をするので、何が欲しいのか察することが出来る。塩を手渡すとお皿を差し出される。手際がいい姿に歩美ちゃんが嬉しそうに言うのだ。

「何だか夫婦みたいだね」
「なまえ君は家庭的な子だからのぉ。いい奥さんになりそうじゃ」
『やめてくれ。そんなことを言ったら』
「ありがとうございます。いずれ招待状を送りますね」

大いなる飛躍をするので言葉を慎重に選択してから発言してください。私にダイレクトダメージが追加されるオプション付き。手をついて左胸を抑える私に対し、コナンくんが「歩美ちゃん。これ以上お姉ちゃんを追い詰めないであげて」と深刻な顔をして歩美ちゃんを連行した。ありがとう我が弟よ。アイラブユー。
そこへ枝を集め終えた光彦くんと元太くんが妙な事を言っていた。

「さっきの白いのなんだったんだろうな」
「見た感じ犬っぽかったですけど。こんな所に犬がいるとは思えないですし」

すると続けざまにコナンくんと歩美ちゃんも面白いことを口走る。

「さっきの祠の近くで見たのと同じかな、光彦くんたちが言ってる白いのって」
「いや、オレ達が見たのは人間だろ?四足歩行じゃなかっただろ」
「あ、そうだね。白い服を着てたお姉さんだった」
「だがあんなところに女性ひとりってのは不思議だけどな」

野菜を切る手が止まり、ゴクリと喉が鳴る。い、いやいや…まさかね。そうそう。こんなところにね、出るわけないじゃんね。だが冷や汗は止まらない。そんな私の肩口からひょっこり顔を覗かせた安室さんは「どうしたんですか?」と尋ねてきてビクっと肩を跳ねらせ包丁を置いた。

『あ、い、いや…なんでもないです』
「もし宜しければ朝までお付き合いしますよ」
『あなたが言うと卑猥な発言に聞こえるのは何でですかね』
「まあそういう意味に捉えても構いませんが」
『ああ、それが歴代の彼女たちを口説いたスキルですかご馳走様です』
「違いますよ。すべてなまえさんのためだけなのに…では僕が眠れなかったら話にお付き合いください」

どこまでも甘く優しい声と態度が降り注ぐから、唇を尖らせてぷいっと余所を向いた。

『戯言はいいので手を動かしてください』

我ながら可愛げのないことを。





■□■






「なあ、肝試ししようぜ!」

元太くんの発言に歩美ちゃんを膝の上に乗せて髪を梳かしていた私の手元から、櫛が落ちた。

「夏と言えば定番だろ!どうせこの後暇だしよ」
「いいですね。確かコナンくんと歩美ちゃんは祠を見たんですよね?」
「うん。見たけど」
「その祠にお賽銭を入れて折り返しのルートにすればいいんじゃないですか」
「いいなそれ!」
「夜の森は方向感覚を狂わせるからやめた方がいいじゃねえか」
「だがここらは人工的に道を作っているからその道から逸脱しなければ大丈夫じゃろ。それに祠までの距離は一本道じゃったんじゃろ」
「まあ、そうだけどよ」

コナンくんがこちらをチラっと視線を送る。すると全員の瞳が私へ集中した。それもそのはず。歩美ちゃんを抱きしめ、その小さな背中に顔をうもらせた。

「お姉さんお化けこわいの?」

歩美ちゃんのかわいい言い方にガタガタと震度2くらいの揺れが観測される。

「幽霊なんているわけねえだろ。こわがりだな大人のくせに」
『大人でも怖いものは恐いままなの。何を寝ぼけたことを…いい?幽霊はね。そこに立っているの。ずっとこちらを見つめて誘い込もうとするの。私はまだ黄泉平坂には行けない……!』
「よもっ、ひらつか?」
「死にたくない、って意味だよ。大丈夫です。なまえさん」
『安室さんっ』

反対をしてくれるのか…そんな希望に満ちた瞳で顔を上げると、とても素敵な微笑みを携え。

「僕がついていますから」
『反対しろよ』

結局、肝試しが結構されることになった。公平を来すためにくじ引きでペアを作ることに。博士はテントで待機のため参加するのは探偵団with安室さんと私である。コナンくんを見つめるが歩美ちゃんはコナンくんと組みたいだろうし……ああ、でも私だってコナンくんと組みたい!怖いから!!大人気なくくじを引くと見事にコナンくんとペアになった。

『やったぁ!コナンくんとペアだ!』
「だぁっ!抱き着くなよ。始まる前に呪われるだろ」
『非科学現象は信じないくせに』
「いや、物理的か精神的どちらかで確実に呪われるから。これは科学とかの問題じゃない」

コナンくんの真顔に遭遇した。
だが流石審神者。強運も実力のうち。ガッツポーズを決めると。歩美ちゃんは明らかに落ち込んでいた。彼女のパートナーは安室さんである。こちらを見上げる潤む瞳を逸らす。見ては駄目だ。見たら最後だぞ私。拳を握り下唇を噛みしめていると。

「コナン君」
「あ、安室さん」

コナンくんと頬をくっつけたまま、コナンくんは安室さんを見上げるが笑顔のままだ。だがコナンくんは次第に視線を逸らし最終的にはくじを交換していた。いや、なんで。

「うわぁい!コナンくんとペアだ」
「すまないなまえ姉ちゃん。世の中逆らっちゃいけない境界線ってものが存在しているんだよ」

どんな境界線だよ。おい裏切られたよ。これ、完全なる裏切り行為だよ。
藁にも縋りたい私の空虚なる手は安室さんの裾を掴むしか選択肢がなかった。

「腕、空いてますよ」
『裾で間に合ってます』

元太くんと光彦くんが先に行き、次にコナンくんと歩美ちゃん。最後は引率者である私と安室さんの順に進むことが決まった。確かに整備された道を真っすぐ歩くだけとはいえ暗がりで危険なため今回につき脅かし役などはなしでお送りする予定である。

「じゃあ行ってくるからな」
「行ってきます」

最初のふたりが時計型ライトを点灯。暗い森の中へと吸い込まれていき、背中が見えなくなるとどっと心臓が静かに叫びだしていた。

無理だって…え?はあ?なにこれ無理だよ。無理ゲーだよ?こわいって。絶対出るって。冬名山のときだっていたんだから絶対に居るって。奴らいるって。視えたらどうしよう。怖くて目を開けて居たくない。ぷるぷると震えているわたしを余所にコナンくんと歩美ちゃんが出発する。そんな彼らを見送っていると隣に博士がやってくる。

「大丈夫か?」
『むゅりだけど…子供たちがちゃんと帰ってこれるか見ないとだから』
「生まれたての小鹿状態で言われてものぉ」

突然鳥の鳴き声が響き渡りビクっと肩を跳ねらせると背中に引っ付いた。もうやだ……耳栓したい。でも聴覚を奪われるといざって時に逃げられない。あぅ……八方塞がりだ。

「……やわっこい」
「安室くん大丈夫か」
「はい。大丈夫です。柔らかいだけですから」
「やわらかい?」

それにしてもいい笑顔じゃな、と博士は呟いていたがそれは左から右へと耳穴を通り過ぎ背中にある。あまり服を掴みながら密接にくっついた。腕を退かして脇に納まるように顔を置き、そこから森を覗くように窺う。フクロウの声がしないだけマシかな。フクロウいたら森の王者もいるだろうし。てか、夜にフクロウとか見たくない。だって首が360度回転するじゃん!可愛いけど怖いんだよ!

「(そこから覗くとか、どうしてくれようこの娘)そろそろ時間ですね。なまえさん行きますよ」

ライトを点灯させ片手に携えると背中から離れ横へずれ、袖口を親指と人差し指で挟み。首を縦に振る。もう半分涙目だった。てか吐きそう。

「(いとほし……!)では行ってきます。子供たちが戻って来なかったら連絡をお願いします」
「うむ、わかった……無事に帰ってくるんじゃぞ特になまえ君」
『む、無論じゃ。い、生きて帰還すると我は約束するッ』
「戦地に逝く武将かな」

安室さんの柔いツッコミなど聞き流し私たちは歩き出した。




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