輪の中で笑うあなたに祝福を!

お祝いされて、みんなに囲まれているルチルを
端っこのテーブルからワイングラスを片手に、
ネロの作った豪勢な料理たちに舌鼓をうちながら、
幸せそうな本日の主役を眺めていた。
ほろり酔った私を珍しそうに見るファウスト、
賢者様が呑んでいらっしゃるなんて珍しいですね、なんて笑うシャイロック。
酔ってご機嫌な私に、気まずそうに声をかけるネロ。
「あー……賢者さんは、もう、ルチルにおめでとうは伝えたのか?」
にっこり笑顔を浮かべると、
何処かほっとした様な顔をするネロの期待を裏切るように、
「実はまだ一度も話してないんですよね、どうしましょうね」
といえば、ファウストもネロもぎょっとした顔をして、
「賢者、今すぐあそこに混ざって伝えてきた方がいい」
というファウストの言葉に、同意する様にネロも、
「マジで、先生の言う通り今すぐ伝え来た方がいいぜ……」
呆れと困惑が半分。
「そんなに言うなら、伝えてきます。あ、ご飯は残しておいてくださいね!」
なんて、食い意地たっぷりな私の言葉に笑うふたりから離れ、
賑やかな輪の中へ向かう私に気づいたルチルは、
その綺麗な瞳を私に向けて、幸せそうに、私の言葉を待っている。
「ルチル、お誕生日おめでとうございます」
そう伝えると、ありがとうございます、賢者様!
と眩しい笑顔が返ってきたのだった。
優しいあなたに、ささやかな祝福を

ルチルお誕生日おめでとう!


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