東の青年と山犬の末っ子02


※ショタコン注意。








「ヤックルに乗りたい!」


いつものように森を訪れると、挨拶もそこそこにそう言い放った末の少年。

突然どうしたのかと他の者に説明を求めようとしたものの、やはり今日も周囲にはきょうだい達の姿が見当たらなかった。


しかし、ケントは何故いつも一人でいるのだろうか。

私の間が悪いだけだろうか。


「ヤックルに?」


気を取り直し、ケントの前に膝を着いて目線を合わせながら問い掛けてみる。


いつもきょうだい達の背に乗って、あるいは自身のその足で、森を、山を、駆け回るケント。

今更ヤックルの背に乗ったところで、特に物珍しくもないと思うのだが…



「サンねぇだって乗ってた!ずるい!おれも乗りたい!」



返されたのは分かりやすい、童らしい主張。

それに以前、私が忠告したことをちゃんと覚えていたらしく、ぎこちなくもサンを「姉」と呼ぶ姿も何とも愛らしい。


そう微笑ましく感じていると、返事の遅さをもどかしく思ったのか、ケントは強請る相手を変えた。


「ねぇ、ヤックル!乗せて!」


ケントにせがまれて、少し困ったようにこちらを見やるヤックルに苦笑し、小さく頷いてみせた。

それを合図にヤックルが頭を下げれば、その意図に気付いたケントは満面の笑みを浮かべて軽々とその背に飛び乗る。


流石はモロの子、サンの弟だ。


「アシタカ?」

「ん、何だ?」

「お前は乗らないのか?」


不思議そうにこちらを振り向くケントに、一瞬思わず言葉が詰まる。


だがすぐに微笑み返してそれを誤魔化し、ケントに続いてヤックルの背に跨がった。


「よし!ちゃんとしっかりつかまってるんだぞ、アシタカ!振り落とされるなよ!」

「…あぁ、きっと離すまい。」


そして、ぎゅっとその小さな身体を抱き寄せれば、「動きにくい」と不満の声が上がる。




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その後、サン達と鉢合わせしてしまい、とても恐ろしい形相で追い掛けられることになるのだった。


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嘘つき、ロンリー。