東の青年と山犬の末っ子01
※映画終了後。
※ショタコン注意。
「アシタカ!」
いつものように森を訪れると、いつものように出迎えてくれたのは末の少年だけだった。
駆け寄る勢いのままぶつかってきた小さな身体を抱き止め、その頭を撫でながらそっと周囲の様子を窺う。
「ケント、そなた一人か?」
「サン達ならもうすぐ戻って来るぞ。だから遊ぼう、アシタカ!」
よほど暇をもて余していたのだろう。
しばらく私の腹辺りに顔を埋めていたかと思えば、私を見上げ、きらきらと目を輝かせるケントに思わず苦笑してしまう。
だがその前に、少し気になることがあった。
「ケント…前々から思っていたのだが、サンのことは『姉上』と呼んだ方がいい。」
「?あねうえ?」
物心がつく以前から山犬の子として育てられてきたケントは、兄弟間の年功序列をあまり気にしていない。
恐らくそれは、サンも同様だろう。
だがモロ亡き今、サンはこれから山犬の長となりうる者。
それを支える弟としての自覚は、やはり必要ではないだろうか。
「何でだ?サンはサンだろう?お前だってそう呼んでいる。」
「だが、そなたはサンの弟であろう?」
「おれはサンのきょうだいだ!」
さて、どう説明すればよいものか。
とりあえず腰を屈め、ケントと目線を合わせる。
ケントは少し困ったように顔を歪めながらも、しっかりと私の目を見ていた。
「サンのことを尊敬しているか?」
「してる!」
「そうか…」
「そんけーしていたら、あねうえと呼ぶのか?じゃあアシタカもあねうえと呼ばれているのか?」
何でも知りたがる年頃の性。
矢継ぎ早にそう問い掛けてくるケントに、つい遠い過去を思い出して目を細めてしまった。
「いや、私は…兄様と呼ばれていたな。」
「あにしゃま?」
「…ケント、もう一度」
「ケントから離れろ、人間。」
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その時、サンは初めて出会った頃のように敵意剥き出しでそこに佇んでいた。
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嘘つき、ロンリー。