河の神と付喪神01
※変態注意?
風呂とは正に命の洗濯。
長く生きていると時々忘れそうになるその価値を、一度湯舟に身を落とせば、すっかりと思い出させてくれる。
なんて飽きもせず語り続けてきたためか、今ではすっかり自他共に認める風呂好きになっていた。
「ほんにお前さんはお風呂がお好きなようで。」
そんなケント殿にお勧めの店があるのですが。
と少し苦笑気味の古い友人に紹介されたのは、神々の集う湯屋『油屋』。
前々から噂には聞いていたが、実際に訪れたのはこれが初めてだ。
初めて、なのだが…
「ケント様、如何されましたか?」
「い、いや…その…」
湯釜に案内されて数分。
接待役の女人を断って一人ゆっくりと湯に浸かろうとしたものの、未だ立ち去ろうとしない少年の存在が衣一枚脱がさずにいる。
「後は自分一人で構わぬので、接待は無用と…」
「えぇ、存じております。」
いや、存じてないから困っているのだ。
というか、接待でなければ何故この場に留まっている?
「ケント様?」
不思議そうにこちらの様子を窺う少年は、確か番頭や接待役から「ハク様」と呼ばれていた。
恐らくそれなりの地位に着く者なのだろう。
(もしや、ここでは初見の客に監視が付くのが習わしなのか?)
「全てを脱ぐのがお嫌ですか?」
そりゃあ誰だって無言で凝視されていれば脱ぎづらいだろう。
だが、そうとは言い返せぬ自分はしがない付喪神だ。
すっかり「ハク様」の雰囲気に飲み込まれてしまっている。
「ならば、手拭いを腰に巻いたままでも構いませんが。」
「え?い、いや、しかしそれでは『まなあ違反』になるのでは…?」
『油屋』は初見でも自他共に認める風呂好き、全湯屋共通の規則は心得ているつもりだ。
それを「大丈夫です」とハクは繰り返し頷いた。
「湯上がりに、腰に手拭いが張り付く様も見られますので。」
「…………」
では、どうぞごゆっくり。
--------------
(いや、ごゆっくり出来ません。)
---------------
リクエストありがとうございました!
次#
戻る
嘘つき、ロンリー。