巷で噂の魔法使いと兄弟子01


「……これは一体、何の冗談だ?」


兄弟弟子の、そのまた弟子から送られてきた救難信号に、かの城を訪れてみれば待っていたのは二人の少年。

一方は連絡をくれたマルクル本人で、もう一方はマルクルと同じか、それより少し下の年頃だろうか。


その艶やかな黒髪と利発そうな顔立ちに、嫌でも見覚えがあった。


「えーっと…」

「ハウルの奴、魔法薬を作るのに失敗しちまったんだよォ!」


言いづらそうにするマルクルに代わり、答えたのはカルシファー。

いかにも愉しげに笑うその姿はまるで悪魔のようで、いやそう言えば奴は正真正銘火の悪魔だったな…とどうでもいいことを考える。


勿論、ただの現実逃避だ。

そして、当然のことながら逃げきれなかった。


「おにいさん、誰だい?」

「…ケントだ。しばらくここで一緒に暮らすことになる。」


重々しい溜息と共に自己紹介をすれば、傍らのマルクルが嬉しそうに声を上げた。

いくらカルシファーがいるとはいえ、子ども二人をここに置いていく訳にはいかない。

サリマン先生に事情を話して、ハウルが戻るまで俺がここに留まるしかないだろう。


(まずはハウルが調合した薬の残りを調べて…同じものを作って…それから……)


時間は掛かるが、成長薬を使うよりは副作用の心配もない。

なんてつらつらと今後のことを考えていると、ふと小さなハウルがやたら目を輝かせてこちらを見上げていることに気が付いた。


「何だ?」

「僕の兄と同じ名前だ!」

「兄?」


ハウルとは長い付き合いになるが、そんな話、初めて聞いた。

すると俺の困惑を察したのか、ハウルは「本当の兄弟じゃないけど…」と続けて少し照れたように俯いた。


「すごく優しくて、すっごくかっこいいんだ。」





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(キュン?)
(………アホか。)


だが、まぁ、なんだ。

誰に若返りの薬を使おうとしていたのか、とりあえず目をつぶってやろうと思う。


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嘘つき、ロンリー。