巷で噂の魔法使いと帽子屋の息子02
※ソフィー成代♂
※映画終了後。
魔法使いハウルの城が地上より姿を消して、しばらく経つ。
その行方を一体誰が想像することが出来ただろう。
俺も、まさかあの城が空を飛ぶなんて思いもしなかった。
「…カルシファーって、本当凄いんだなぁ。」
そう雲の切れ間、眼下に広がる街並みを見下ろしてはいつも感嘆してしまう。
ぽつりと呟いた独り言は風に乗って流れ去っていった。
初めは戸惑うことの多かったこの生活にも随分と慣れたものだ。
いや、むしろ以前より、心穏やかに過ごしているような気さえするから不思議だ。
どこからか、楽しげな子どもと犬の声が聴こえてくる。
(マルクルとヒンは追いかけっこ中かな…夢中になりすぎて、日向ぼっこしているおばあちゃんにぶつからないように注意しておかないと……あ。)
なんて考えていると、ふと見覚えのある景色に気を取られてしまった。
「ケント、何を見ているんだい?」
掛けられた声に振り返ってすぐ相手の姿を認めた俺は、少し考えてからその名前を呼んだ。
「あの、ハウルさん。少しお話があるんですが…」
「うん?」
魔法使いは優しく微笑んだ。
が。
「…ちょっと実家に顔を出したい、って言っただけじゃないですか。」
自室に閉じ込められて早一時間ほど。
ベッド端に腰掛けた俺の膝の上では、先程からハウルさんが不明瞭な唸り声を上げている。
まさか泣いている訳ではない、と思うが、ついつい溜め息をこぼしてしまった。
(レティーは今頃どうしてるだろう…)
その顔を見るために店へと通った道程の、『見覚えのある景色』はきっともう通り過ぎてしまっただろう。
そう言えば義母の再婚だって、色々と慌ただしかったせいできちんと祝うことも出来ていない。
だけど―…
「ハウルさん、夕食は何がいいですか?」
いつか、会いに行きます
(生きていれば、いつだって)(心臓はとうに食べられてしまいましたが)
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265500hitより。
キリリクありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。