新聞部部長と一般生徒01
「いってぇ…」
次々と講堂の出口を目指す生徒の流れ。
未だ興奮冷めやらぬ声があちらこちらで上がる中、俺は一人小さく呻いた。
「大丈夫かぁ、ケント?」
「お前、思いっ切り風間に踏まれてたもんなぁ。」
「くっそ…何で俺だけっ…」
ここ数日頻繁に開かれる全学討論会、議題は『カルチェラタンの存続について』だ。
内容そのものに興味はなかったが、何やら盛り上がる周りの空気につられ、勢いでど真ん中真ん前の席を陣取ったのがまずかった。
途中、演説に乱入した存続派代表の同級生に見事踏み台にされる羽目になってしまったのだ。
「絶対取り壊しに賛成してやる…」
なんて苦々しく呟きながら、制服に着いた風間の足跡を拭おうとポケットのハンケチーフを探る。
ふとその瞬間、違和感を覚えた。
「あ、やべ…生徒手帳、中に落としてきたかも。」
「げ。今戻っても人多過ぎて分かんねぇぞ。」
本当に今日はツイていない。
かと言って、取りに行かない訳にもいかない。
「先行ってるぞ!」と薄情な友人らに見送られ、人波に逆らいながら講堂内に戻った。
未だ残っているのは集会の関係者と、思った以上に一般生徒の姿がちらほらある。
若干女子生徒が多い気がするのは多分、生徒会長やら風間やらのフアンだろう。
その証拠に、それらの熱視線の先にいるのは件の二人だ。
(あぁ、今なら演説を邪魔されていた奴と親友になれそうだ…)
ますます取り壊し賛成に意志を固めていると、ジンと踏まれた箇所が痛み、我に返る。
「そうだ。手帳、手ちょ…う……」
そして視線を足元へ向けようとした寸前、風間の手の中にあるものに俺は気付いてしまった。
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神様、これは何て試練ですか?
(誰か、あれは俺の物ではないと言ってくれ…!)
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嘘つき、ロンリー。