新聞部部長と一般生徒02
「手帳?」
集会が終わり、今後の打ち合わせをしようと水沼の下へ来てみると、「落とし物だ」と差し出されたそれ。
反射的に胸ポケットに触れ、自分の物ではないことを確認する。
「俺のじゃないぞ。」
「まぁ、中を見てみろよ。」
何やら意味深に笑う水沼。
不審に思いながらもそれを受け取り、促されるままに数枚頁を捲ってみた。
知り合いのもの、という訳でもない。
「これがどうしたんだ?」
「お前、渡しておいてくれないか。」
「は?」
一瞬、何を言われたのか解らなかった。
そしてすぐ「何で俺が、」とそれを突き返したものの、水沼は笑うばかりで受け取ってはくれなかった。
「生徒会の仕事だろう。」
「いいから話を聞けよ、俊。」
さっさと本題に入らないのはそちらだろうに。
こういう時、やたら勿体ぶった話し方をするのはこの生徒会長の悪い癖だと常々思う。
「さっきの討論会、中央辺りの席で一際騒いでいた集団がいただろう?」
「あぁ、やたら盛り上がっていた連中がいたな。」
「それが落ちていた場所を考えると恐らく、持ち主はあの中の一人だ。」
「……それで?」
「俊、お前、忘れたのか?自分がどこを通って壇上に登ったのか。」
「………あ。」
そこで俺はようやく、水沼の言わんとすることを察した。
あの時の俺は椅子の上で立ち上がり、そのまま壇上に向かって真っ直ぐ進んだ。
中央の席を突っ切って、その時に一人、思いっきり踏みつけた覚えが…
「あの辺りは未だ賛否が曖昧だ。今親しくしておけば、後々都合がいいんじゃないか?」
だから謝罪ついでに持ち主を探して返してやれ。
そう提案してくる水沼に対し、俺も笑って「なるほど」と頷いてみせた。
「流石、水沼殿。」
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そんなやり取りの後に、おずおずとやって来る男子生徒が一人。
(飛んで火に入る夏の虫とは正にこのこと)
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嘘つき、ロンリー。