設計士の同僚と恋人01
※学生時代。
ざわざわと賑やかな定食屋。
その一角を学生服に身を包んだ青年が三人、占領していた。
一人は手帳に何かを書き込み、もう一人はその手元を覗き込んで、そして最後の一人は呑気に欠伸を漏らしている。
「…二郎くんも本庄も、本当よく飽きないねぇ…」
苦笑混じりに呟かれた揶揄は周囲の音のせいか、それとも何かに熱中しているせいなのか、二人には届かなかったようだ。
ま、いいか。と肩を竦めたケントは店内へと視線を向けてみる。
「あ、あの子可愛い。」
そんな小さな呟きも、すぐに掻き消されてしまった。
「……駄目だ。これだと機体が安定しない。」
「ちっ…今度こそは、と思ったんだがな…」
ようやく二郎が手帳から顔を上げると、本庄が苛立たしげに後ろ頭を掻き毟る。
そして「ケント、煙草」と声を掛ければ、「あいよ」とケントは胸ポケットから煙草を取り出し、さらにそこから一本取り出すと本庄の口に差し込んだ。
「二郎くんは?いる?」
「いや、自分のがあるからいい。」
まだ納得いかないのか、二郎は手帳を睨みつけたまま、ケントの方を見ようともしない。
ケントは特に気にした様子もなく、本庄がマッチで火を着けたところを見計らって自分も煙草を一本口にくわえた。
「俺にも火ぃ、ちょうだい。」
「ん。」
顔を寄せ合い、お互いの煙草の先と先を密着させる。
焦れったくも火は確かに移り渡り、そして一呼吸置くと、どちらともなく紫煙を吐き出した。
「ところでケント。」
「んん?」
「誰が可愛いって?」
その瞬間、盛大に噎せる。
「……聞こえちゃった?」
返事の代わりに切れ長の目に睨まれた。
とっさに二郎に助けを求めようとしたものの、二郎はすでに次の作業に移っていて、最早こちらのことは眼中にない。
「ケント。」
そしてまた名前を呼ばれ、背中を冷や汗が流れた。
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(…だって、することなくて暇だったんだもんよ…)
(だからって余所見は許さないからな。)
(!本庄、ケント!これだ!この数値だ!)
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嘘つき、ロンリー。