設計士の同僚と恋人02


※学生時代。










「それで、一体どれだ?」

「ん?」

「お前が『可愛い』と言ったやつだ。」


そう言って、賑やかな店内を見渡す本庄の目付きがより一層鋭く見え、ケントは思わず苦笑した。

そして、少し迷う。


別に本庄がその相手に何かするとは思わなかったが、きっと睨むぐらいはするだろうな、と。


(何もしてないのに睨まれるのも可哀想だしなぁ…)


つい数分前の経験者談として、あれは少し遠慮したい。

そう思ったケントは適当に店内を探すふりをして、すぐに肩を竦めてみせた。


「さぁ?どの子だったかなぁ…もしかしたらもう帰っちゃったのかも。」


そのケントの言葉を信じないのか、それとも信じた上で未だ相手が帰っていない方に賭けたのか。

本庄は顔を険しくしたまま、「おい、二郎」と向かいに座る二郎に声を掛けた。

二郎は箸を付けたばかりの、少し冷めてしまった定食から顔を上げる。


「ん?」

「お前はどう思う?」

「?『どう』っていうのは…?」

「こらこら。二郎くんを巻き込んじゃだめでしょ。」


案の定、話を聞いていなかった二郎を庇うようにケントが口を挟むが、本庄は構わず一から経緯を説明を始める。

ならば…と今度は二郎に向かって「二郎くんも聞かないでいいから食べなよ」と投げ掛けるも、結局それも無意味に終わってしまった。


「そうだな…ケントの好みならあの辺りじゃないか?」


しばし熟考した後に二郎が指し示した先を、つられるようにして二人が振り返る。


「あの辺りって…」

「あの隅のやつか?」


そしてケントはそっと安堵し、本庄はあからさまに眉を顰めた。

そこにいたのは三人と同じ学生服に身を包んだ、


「…男じゃないか。」


自分のことは棚上げして「もっと真面目に考えろ」と言う本庄に、二郎は不思議そうに首を傾げるのだった。


「本庄に一番似ている人を探せばいいんじゃないのか?」





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(でも、そうか…本庄はあまり『可愛い』という感じではないか。)
(いやいや。分かってないなぁ、二郎くん。本庄ってばこう見えて可愛いとこ、結構あんのよ?)

(……おい、話を逸らすな。)


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嘘つき、ロンリー。