設計士の同僚と同僚03


「お前もそろそろ帰ったらどうだ。」


青天の霹靂、とは正にこういうことを云うのだろう。


なんて、頭のどこかでそう思った。

それほど衝撃的だった。


そしてどうやらそれは表情に出てしまっていたらしい。


「何だ、その顔は。」

「あ、いや…まさかお前からそんなことを言われる日が来るとは思わなかったから。つい。」


むしろ、それを言うのは今まで俺の役目ではなかっただろうか。


だが現に本庄は帰り支度を済ませており、机に囓り付いて図面を引いているのはこちらの方。

改めてその逆転した立場に気付いた俺は、本庄の訝しげな視線を受けながら思わず苦笑した。


「…何だ?」

「変われば変わるもんだなぁ…」


さっさと嫁でももらえ、とからかい混じりに助言したのは少し前だというのに、もう随分昔のことのように感じる。

すると何か察したのか、本庄は鼻を鳴らして「まったく、お前よりも煩くて敵わん」と吐き捨てた。


いつも通りの顰めっ面。

だが、それはどことなく―…





「ケント。」





ふと呼ばれた名前に顔を上げれば、すぐ目の前に同僚の姿があった。

よほど集中していたのか、全然気付かなかった、と照れ隠しに少し笑ってみせたものの、堀越はどこか困ったような表情のまま、笑い返してはくれなかった。


「どうした?何かあったか?」

「今日はもう帰った方がいいんじゃないか。」

「え、」


青天の霹靂、とは正にこういうことを云うのだろう。


なんて、他人事のようにそう思ったのだった。





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(嗚呼、きっと明日は雨だ)
(なんて、)


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嘘つき、ロンリー。