王子と大賢人の従者02
「………アレン?」
振り向いてようやく、その異変に気が付いた。
元よりあまり明るい方ではないその顔色をますます青白くさせ、そして何故か自身の首を手で押さえている。
「悪い。少し振り回し過ぎたな…大丈夫か?」
もしかしたら、この人混みで少し酔ってしまったのかもしれない。
そう思って背中を擦ってやろうと手を伸ばすと、それに驚いたのか、アレンはビクッと肩を揺らした。
暗い瞳が俺を見上げる。
『アレンは少し不安定なところがあるようだ。なるべく目を離さないようにしてくれ。』
不意に、いつかのハイタカの言葉を思い出した。
詳しくは聞かなかったが、アレンにも何か事情があるのだろう。
一瞬行き場を失った手をさ迷わせ、もう一度辺りを見渡して待ち人の姿を探した。
(とりあえず一旦、この場を離れた方がいいか…)
(どこか人の少ない場所に移動して)
(いや、それとももう、テナーのところへ戻った方が)
(アレンの具合)
(ハイタカは)
(………あぁ、だめだ。)
考えるのは苦手だ。
こんな時、無性に『古巣』に戻りたくなる。
何も考えなくて良かった、あの頃に。
(…なんて、テルーが聞いたら怒りそうだな。)
思わず溜め息が一つ、こぼれ落ちる。
「ケント、あの…」
「帰ろう、アレン。」
言ってすぐ、アレンの言葉を遮ったことに気付いたが、アレンがそれ以上何も言わなかったので俺も気にしないことにした。
そしてその手首を掴むと、人の波を縫うようにして歩き出した。
その時、アレンが何か落としたことを、俺は知らなかった。
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(色ある貴方が羨ましい)
(例えそれが、 )
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嘘つき、ロンリー。