▽熱風SS▽泥棒一味と何でも屋
ちゃぽんちゃぽん、と歩く度にバケツの中の水が跳ねる。
その小さな音がだだっ広い廊下に響くのにしばらく耳を澄ませ、適当な物陰を見付けるとそこに掃除用具を置いて傍らに腰を下ろした。
ここで一服でもすれば誰の目から見ても「完璧な小休憩」になるだろうが、流石に城内で喫煙するわけにもいかず、代わりにそっと溜息を吐き出した。
その瞬間。
「遅かったじゃない。」
一拍置いて、背後から囁くように掛けられた女の声。
周囲に視線を向けてみたが、誰も居ない上、気配もなさそうだ。
「…悪かったな。執事のじいさんに呼び止められてたんだ。」
磨き残しがある。掃除の仕方が甘い。
そんなまるで姑のような苦情を一通り投げ付けられ、たった今ようやく解放されたところ。
そう返した声にも疲れが出ていたらしく、「ご苦労様」と女が笑う。
「ちゃんと私の言ったこと、守ってくれているようね。」
「何でこんな面倒な真似を…」
「だって『急遽掃除夫に雇われた田舎の青年』よ?完璧に仕事を熟したらおかしいと思わない?」
「…………」
「それで、どうなの?」
「…お前の狙い通り、田舎者だと思って油断しているんだろう。今のところ監視は付けられていないし、特に立ち入りを禁止されている場所もない。時間を掛ければ幾つか目星は付けられるはずだ。」
「そう…でも残念ながら時間はあまりなさそうね。伯爵宛てにルパンからの予告状が届いたの。」
「……お前も物好きだな、ルパン。」
「お、よく分かったな?流石ケント!」
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【世界の裏側へようこそ】別ver
最初は不二子サイドで、カリ城に掃除夫として潜入予定でした。
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嘘つき、ロンリー。