長女と若医者02


※未来捏造注意。
※サツキが看護婦さんになっています。









「ケントくんとは最近どうなの?」


あんなにお転婆だった妹も今ではもうすっかり『女の子』になり、最近私は違う意味で手を焼くようになっていた。


「どうって別に…ただお昼を一緒に食べるくらいよ。」

「ふーん…?」

「ほら、そんなことより暇なら洗濯物畳むの手伝って。」


そう言って促せば、「はーい」と私の隣に腰を下ろすメイ。

やけに素直に従ったなと思っていると、その顔には意味深な笑みが浮かべられていて、


「お姉ちゃん、男の人は胃袋を掴まなくちゃ。」








(…メイったらあんな言葉、一体どこで覚えて来たのかしら?)


なんて思いつつ、結局はその言葉に従ってしまった自分に内心苦笑する。

隣ではケントさんが、お弁当の蓋を開けて目を輝かせていた。


「うわ…うまそう。」


ぽつりと呟かれたそれは、いつもの丁寧な言葉使いではないけれど、率直で私には好ましく感じられた。

ふと中庭で遊んでいた子ども達がこちらに気付いて駆け寄って来る。


「お弁当?いいなぁ、ぼくも食べたい!」

「えぇ?」

「おれもおれも!」

「仕方ないなぁ。」


一口だけだぞ?

口調は渋っているものの、その表情はひどく柔らかい。

そして苦笑しながらケントさんは、まるで雛鳥のように口を開ける男の子達に向け、卵焼きを一つ摘むと


「だめだよ、ケントくん。」


不意にそれを制止したのは一人の女の子だった。


「そのお弁当はサツキおねえちゃんの愛なんだから、ちゃんとケントくんが食べなきゃ。」

「…え?」

「あ、あい…?」


一瞬、その言葉の意味を理解出来なかった。

それはケントさんも同じらしく、隣からも戸惑いの声がこぼれ落ちる。


「おかあさんが言ってたの。料理には作った人の愛情がたっぷりこめられているんだって!」


ね!サツキおねえちゃん!

そう言って同意を求める自信満々の笑みは、どこか妹のメイに似ていた。




--------------
(「そうね」と笑って答えるほどの余裕は、私にはなかった)
(そしてきっと、ケントさんにも)


---------------
リクエストありがとうございました!

*前


戻る

嘘つき、ロンリー。