妖精と姉妹の従兄02


いつかの雨の日、俺に傘を貸してくれたのは『トトロ』というらしい。

正確に言えば「傘を返してくれた」のだが、まぁそれはひとまず置いておくとして。


あれ以来その姿を見掛けなかったせいか、ほとんど話題に上ることのないその存在を俺はすっかり忘れてしまっていた。


そして今更ながら、ふと疑問に思う。



『トトロ』とは一体、何の動物を模したキャラクターなのだろうか、と。



熊…じゃないよな?

胸の模様や全体の形から考えると、フクロウ?ミミズク?

いや、鳥ではない。絶対にそれはない。


従姉妹曰く、『ネコバス』というものも存在するらしいので、もしかしてネズミ的なものなのだろうか?まぁ、色もそんな感じだし。


なんて延々と考えてみたところで勿論、正しい答えなんて出てこない。

答えてくれる人間も、いない。



だから俺はそっと溜め息一つこぼして、そしてようやく覚悟を決めた。



「結局のところ、どうなんですかね?」



…遡ること、十数分前。

「とっておきの場所があるの!」と従姉妹達に案内されたのは、自然が造り出したドーム状の開けた空間。

その中央には齢何百年かとも思えるような、大きな樹があって、思わず「おぉ!」と見入ってしまった。


そんな俺の背後で、サツキとメイが顔を見合わせてクスクスと笑っているのにも、俺は気付かなかった。


『ほらね!やっぱり!』

『うん!ケントにいちゃんだもんね!』

『ん?何が、』


ドンッ、とそこで暗転。

今思えば、多分二人に背中を押されでもしたのだろう。


これもまた気付かなかったが、どうやら樹の根元に大きな穴があったようで、俺はそこに一人、落ちてしまった。


そして落ちた先にいたのは、いつかの『トトロ』。

俺は今もそれを下敷きにしたまま、未だ動けずにいる。


(いや、こいつがクッション代わりになって怪我一つないし、助かったんだけど…)


いまいち状況が把握出来ないせいか、身体が思い通りに動かない。

腰が抜けた、とも言える。


すると先程の俺の問いの答えなのか、「グォ、グォ、グォ!」と鳴く『トトロ』を見下ろして俺はもう一度溜め息を吐いたのだった。





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(…サツキ達、早く叔父さん呼んできてくれないかな…)
(というか、え?ちゃんと助けに来てくれるよな?これ)


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嘘つき、ロンリー。