楽器職人見習いと同級生01
―…ちょっとは天沢くんを見習ったら?
「にしたって見すぎだろ。」
先日騒いでるところをクラスの女子に見咎められたとかで、その冷ややかな視線と共に頂いた言葉がまずかったようだ。
それが悔しかった友人はここ何日か、ジーッと効果音が聞こえてきそうな、それこそ穴が空きそうなほど一人のクラスメイトを凝視し続けている。
「ライバルとして!あいつにだけは負けてられねー!」
「いや、ライバルって…そもそも向こうはお前なんて眼中にねぇから。」
そう言ってはみたものの、聞いちゃいない。
ダメだこりゃ、と諦め、すぐ傍らでトランプに興じていた別の友人らに救援を求めた。
「なぁ、お前らも何か言ってやれよ。」
「あー…そろそろ止めとけって。変な噂が立つぞ。」
「手遅れだ…そいつはすでにストーカーという不名誉な称号を手にしている…」
「何だと!」
無事後を引き継いでもらったのを見届け、何気なく天沢の方を見た。
いつもツルんでいる奴らの姿はなく、自分の席で一人涼しげに本を読んでいる。
いくら騒ごうと、こちらなど見向きもしない。
(まぁ、俺らとは人種が違)
「お…」
目が合った。
突然のことで逸らすタイミングを失ったが、どうせすぐに向こうから視線を外すだろうと黙っていると
「っ…」
「……お?」
色白の頬がうっすらと赤くなり、思いっ切り顔ごと逸らされた。
てっきり普通に無視して本へ戻るか、最悪鼻で笑われるかと思っていたんだが、これは予想外だ。
(意外とシャイなんだなー…)
ただクラスメイトに人見知りされるのって、少し傷付く。
「おい、お前は天沢ストーカー2号か?」
「ケントー、暇なら援護してくれー。」
「…ババ抜きで援護って何?何すればいいの?」
気付けば『自称・天沢のライバル』な友人がいない。
トランプ片手間に追い払うとか、お前ら何者?
(……今度、天沢を遊びに誘ってみっかなー…)
俺らが天沢レベルになるのは難しいけど、天沢にこっちのレベルに合わせてもらえば簡単な話だ。
そうすれば女子の見る目は変わるだろうし、ストーカーもいなくなるだろう。多分。
そう俺は小さく笑った。
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そんな俺の心の声が聞こえたのか
その後、天沢が何か言いたげに俺を見ていたことに気付かなかった
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嘘つき、ロンリー。