東の青年と青年01


東の国の老巫女、ヒィさまは一つ大きな悩みを抱えていた。

その視線の先では青年が二人、弓矢の鍛練に励んでいる。


「いずれはくにを治めるアシタカと、それを支えるケント…か。」

「どちらも真面目で良い若者だ。二人とも立派によく育ったものだ。」

「それに本当の兄弟のように仲も良い。あれなら将来安泰だな。」


同じようにその様子を眺めていた郷の者達が口々にそう言い、そして笑い合うのが聞こえて来る。


だが、ヒィさまは一つ大きな悩みを抱えていた。


「ケント、腕が下がっているぞ。」

「は、はい…」


弓矢が苦手だと言うケントを、アシタカは年長者として指導しているのだろう。

それはヒィさまも解っている。


解っているのだが…


「腰はもう少し落とした方が、」

「あ、あの、アシタカ様っ」


少し、近すぎやしませんか…?


顔を真っ赤にさせ、蚊の鳴くような声でそう進言するケント。

その言葉にヒィさまも内心強く同意した。


型を教えやすいようにとケントの背後に立つアシタカは、不必要なほど密着している。

そしてその手はケントの腕に腰にと添えられ、時折妖しく蠢いて見えるのは気のせいか。


「そうか?」


素知らぬ顔のアシタカが答えれば、その息が耳に掛かったらしくケントは小さく肩を震わせた。

唇が、ますますその首筋に寄せられる。


「っ…」

「ケント?」

「も、勘弁してください…!」


先程からケントは何とか逃げようと試みているが、身体の支点を押さえられているせいで上手くいかないようだ。


「しかし…これはそなたのためを思えばこそ。」


そんな様子ですら恋人達の戯れのように見え、ヒィさまはそっと溜息を吐いた。





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(…エミシの血は絶えるかもしれんな…)


ヒィさまは一つ、大きな悩みを抱えていた。


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アンケートより。
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嘘つき、ロンリー。