奏でる人々

放課後


今日は始業式、ということで学校は午前中のみ。

だが剣道部はテスト後の部活について打ち合わせがあり、野球部の方も今朝の遅刻の罰があるらしい。


そして友人最後の一人は図書館で国語の勉強をするとか何とか…


『まぁ、後は若い者同士でごゆっくりー。』


なんてよく分からない見送りを受けて今、俺は天沢と二人で帰宅途中です。

そう言えば朝も同じ奴から同じことを言われた気がするが、まぁそれはどうでもいいとして。


(しかしまさか、天沢から誘われるとは…)


今日は天沢デーか何かだろうか?と本気で思えるほど接触の多い一日だった。

文字通りの接触事故も一度起きた。


(…あ、しまった。あの野球野郎に仕返しすんの忘れてた。)


「あの、さ…」

「ん?」

「図書館での、あれ…」

「あれ?」


学校を出てしばらく、沈黙を守り続けていた天沢が突然口を開いた。

それに合わせて俺の思考も切り替わる。


(図書館の、あれ…あれ?…あぁ、一昨日のあれか!)


早速使ってもらえたのだろうか、温泉の素。

それとも温泉饅頭の方か?


「別にお前のことを怒っていた、とかじゃない、から…」

「は?」


怒る、って一体何の話だ?

そう首を傾げた瞬間、脳裏を過ぎったのは某友人の言葉。


(!まさか、『つぶあんよりこしあん派』説が正しかったとでもいうのか…!)


んなバカな、と俺がバカなボケツッコミしている間にもポツポツと話す天沢。

それに耳を傾けてようやく、それが温泉饅頭と温泉の素の間の話だということが分かった。


どうでもいいが、目は合わせて話して欲しい。


「つまり俺が邪魔だったから帰った訳じゃない、ってことか?」

「…まぁ、そういう……悪かったな…」

「?何で天沢が謝るんだよ?」


むしろ、そこまで気にさせていたことが申し訳ない。

と言い出したらキリがないので、それは黙っておいた。


(しっかし、ここ数日で天沢のイメージも随分変わったなぁ…)


天沢って、かっこいいばかりだと思っていたんだが。


「意外と可愛いとこ、あんのな。」


少し仲良くなれたような気がして、少しだけ嬉しかった。





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(え?あ、ちょ、おい?天沢ー?)

(逃げるように走り去った同級生の背中)
(それを見送って、友人までの道程はまだまだ長いなぁと苦笑した)


そんな、夏の終わり。

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嘘つき、ロンリー。